最速はいつもNSRだった!レーサーレプリカの系譜①<ホンダ編>

■“最速”と言われた「NSR250R」

▲1986年式「NSR250R」(MC16)

▲1986年式「NSR250R」(MC16)

中でも、最も人気が高かったのが2スト250ccエンジンを搭載した「NSR250R」です。登場したのは1986年。先行するライバル、ヤマハの「TZR250」を打倒することが至上命題でした。そのため、水冷のV型2気筒エンジンを目の字断面のアルミツインスパーフレームに搭載するというワークスマシンそのもののような構成で登場し、この年に2万台近く売れて見事2スト・レーサーレプリカの販売台数1位となります。

▲1988年式「NSR250R」(MC18)。通称“ハチハチ”

そして、今でも伝説的な存在となっているのが“ハチハチ”と呼ばれる2代目の1988年式です。キャブレターの大径化などで、スペック上の最高出力こそ当時の上限値である45psで前モデルと変わりませんが、「本当はもっと出ている」とまことしやかな噂がささやかれました。この年から追加された「NSR250 SP」にはマグネシウム製のホイールを装備。この年までスピードリミッターが非装備だったことと過激な特性から、今でも「NSRは“ハチハチ”が一番速かった」と語る人が少なくありません。

▲1989年式「NSR250R」(MC18)

翌年の1989年には早くもモデルチェンジが行われ、エンジンコントロールユニットがPGMⅡに進化。型式はMC18のまま変わらずですが、SP仕様には乾式クラッチが装備されるように。足回りも刷新され、ラジアルタイヤが採用されますが、特性がややマイルドになったことから、当時は「おとなしくなった」なんて言われていました。

▲1990年式「NSR250R」(MC21)※写真はSP仕様

驚きなのは、翌年の1990年にフルモデルチェンジが行われたこと。メーカー間の競争が激化していた当時ならではの短いスパンです。エンジンはさらに熟成が進み、足回りにはガルアームと呼ばれた「へ」の字のスイングアームを装備。SP仕様に加えて、乾式クラッチと調整機構付きサスを装備した「SE」という仕様も登場しました。最後の45psモデルだけに、今でも市場では新車時の価格を超える高値で取り引きされているようです。

▲1993年式「NSR250R」(MC28)※写真はSE仕様

シリーズ最終型となったのが1993年に登場したMC28という型式のモデルになります。スイングアームが片持ちのプロアームとなり、エンジンは自主規制値が変わったことで最高出力が40psに抑えられています。2輪車初のカードキーシステムが採用され、レース用のカードを使用するとフルパワーを発揮。70psオーバーと言われていました。スタンダードとSP、SE仕様が用意され、その後はモデルチェンジも行われず1999年まで販売されました。

 

■2万回転近くまで回った超高回転型「CBR250RR」

250ccクラスのもう1つのレーサーレプリカが4スト4気筒エンジンを搭載した「CBR250R/RR」です。当時はレーサーレプリカと呼ばれながらも、実は元となったレーシングマシンはありませんでした。にも関わらず、今は250ccクラスの草レースで大活躍しているという変わったマシンです。

▲1987年式「CBR250R」(MC17)

「CBR250R」の名を冠したモデルが発売されたのは1987年のこと。250ccながらカムギアトレインの4気筒という精密なエンジンを搭載した「CBR250FOUR」の追加モデルとして、フルカウルをまとって登場しました。最高出力は45psでレッドゾーンは1万8000rpmからというスペックの高さもあり、年間2万台以上を販売する大ヒットモデルとなりました。

▲1988年式「CBR250R」(MC19)

続く1988年には早くもフルモデルチェンジ。ヘッドライトが丸目2灯となり、レーサーイメージがアップします。エンジンも燃焼室形状やカムプロフィールの変更、ピストンやコンロッドの軽量化と細かい部分までブラッシュアップがされ、スペック上の数値はそのままながら性能アップを果たしています。

▲1990年式「CBR250RR」(MC22)

そして1990年には、車名の「R」が1つ増え「CBR250RR」へと進化します。フレーム、エンジン、足回りなどは全て新設計となり、スイングアームは湾曲したガルアームを採用。エンジンはポート形状などを見直し、レッドゾーンが1万9000rpmから、レブリミッターが作動するのは1万9500rpmという驚きの超高回転型となります。それでいて、重心位置が低く、足つき性も良かったため当時は女性にも人気でした。

現行モデルでも「CBR250R」「CBR250RR」という名の車種はありますが、レプリカブームの頃に青春時代を過ごした人にとっては、CBRといえば4気筒というイメージが強いはず。MC22型は1994年に自主規制値の変更によって最高出力が40psにダウンしますが、4スト4気筒のモデルは生産終了する2000年まで販売が続けられました。

【次ページ】片持ちプロアームが印象的なRVF400

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