翌1984年には早くもモデルチェンジが行われ、乾燥重量がさらに軽量な127kgとなりますが、注目を集めたのは1985年のモデルチェンジで登場したタイプ。車体の下部だけでなくチャンバーまで覆う文字通りのフルカウルモデルが追加されたからです。エンジンにもSAEC(Suzuki Automatic Exhaust Control)と呼ばれる排気デバイスが追加され、低回転から扱いやすい特性となりました。
ヤマハ「TZR250」やホンダ「NSR250R」などのライバルが相次いで登場してきたことで、ガンマもV型2気筒へフルモデルチェンジします。車名も「RGV250Γ」へ変更。個人的には、この1988年がレプリカブームの最初のピークだったように感じます。通称“ハチハチ”のNSRやメッキシリンダーになったTZR、そしてV型になったガンマが出揃った年だからです。ちなみに、このマシンには市販車レース向けのSP仕様も用意され、シングルシートやクロスミッション、フルアジャスタブルのフロントフォークなどが装備されていました。
そして1990年には大きくモデルチェンジし、湾曲したスイングアームに右2本出しチャンバーというスタイルに。フロントフォークも倒立式となり、迫力が増しています。各社のレプリカマシンの中でも片側2本出しの取り回しはガンマだけだったので、このスタイルに憧れた人も多いはず。このエンジンはアプリリアの「RS250」というマシンにも搭載され、そちらは自主規制がないため62ps(!)を発揮していました。
ガンマが最後のモデルチェンジを受けたのは1996年のこと。既にレプリカブームは沈静化していたのですが、そんな時期にも関わらずエンジンからフレームまで完全新設計という気合いの入り方でした。エンジンはV型の挟み角が70°となり、よりコンパクトに。セルスターターも装備されましたが、ユニットで700gという軽量なものでした。フレームはホイールベースを55mmも短縮し、運動性能をさらに向上させています。排出ガス規制の関係で長くは売れないことがわかっていたモデルにここまで手を掛けたことにエンジニアの意地を感じます。1999年まで販売されていましたが、現存する個体は少なく、個人的には一度は乗ってみたいレプリカマシンの筆頭です。