Z1、VMAXなど伝説的名車揃い!逆輸入バイクの歴史を振り返る

▲1972年式カワサキ「Z1(900 Super4)」

この750cc規制の影響を受けたモデルといえば、カワサキの「Z1/Z2」でしょう。「Z1」(正式名称は「900 Super4」)は“打倒CB750FOUR”を実現するため900ccという排気量で開発されたのですが、規制のためそのままでは国内販売することができず、排気量を750ccにダウンさせた「Z2」(正式名称は「750RS」)が生まれます。ただ、怪我の功名と言っていいのでしょうか、排気量ダウンに当たってボア(シリンダー内径)だけでなく、ストロークも短くするという手間をかけたおかげもあり、「Z2」は高回転まで回るエンジンが高い評価を受け、国内ではヒットモデルとなりました。逆輸入車として「Z1」が盛んに輸入されるようになるのは、少し後年のことです。

▲1982年式スズキ「GSX750S」

逆に、負の影響を大きく受けてしまったのがスズキの「カタナ」です。1981年に輸出が開始された「GSX1100S KATANA」が初代モデルですが、国内向けには1982年に「GSX750S」として発売されます。ただ、前傾姿勢の強いセパレートハンドルやスクリーンは国内では認可されず、“耕運機”と揶揄されるアップタイプのハンドルとなっていました。「カタナ」という名称も凶器を連想させるとして用いられませんでした。当然、購入者は輸出仕様のハンドルなどにカスタムしましたが、これは違法改造として取り締まられ、当時は“カタナ狩り”などと言われました。

▲1984年式カワサキ「GPZ900R」

もう1台、750cc規制の影響を受けたモデルとして挙げられるのが、カワサキが1984年に発売した「GPZ900R」。今や同社の多くのモデルが冠している“Ninja”という名称は、元々このモデルに与えられたペットネームでした。映画『トップ・ガン』でトム・クルーズが乗っていたマシンとしても知られています。

このモデルも国内向けには「GPZ750R」が用意されていたのですが、“900こそが本当のNinja”というイメージが強かったためか、750はあまり売れず、多くの「GPZ900R」が逆輸入されました。当時は円高でアメリカから輸入しても、750との価格差が小さくなっていたことも影響したと思われます。“逆輸入”という言葉が、ある種のステイタスとして語られるようになったのは、この頃からでしょう。

▲1988年式ホンダ「GL1500ゴールドウィング」

この750cc規制は、1988年にホンダがアメリカ製の「GL1500ゴールドウィング」を国内でも輸入モデルとして正規販売したことで有名無実化し、1990年に撤廃されます。導入も廃止も、ホンダのバイクがきっかけとなったのは何かの縁でしょうか。

【次ページ】排気量の規制はなくなったが…

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