■気の利いたアイディが満載!
今年1月に開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)の会場で、初めて「ThinkPad X1 Fold」の実機に触れた井上晃さん。そのインパクトは大きかったという。
「このモデルの注目ポイントは、なんといっても折り畳めるディスプレイです。ディスプレイ部を本のように畳めるノートPCの量産は世界初。この “フォルダブル” スタイルの実用化で、ノートPCの新たな可能性が拓かれたといえるでしょう」
一方、フォルダブルという “飛び道具” だけで勝負していない点も、本機の魅力だと井上さん。
「ThinkPad ブランドを冠するだけあって、PCとしての実用性に優れている点もこのモデルの魅力といえます。例えば、ディスプレイを折り畳んだ際に生じるスペースに付属のキーボードを挟み込んで携行しながらワイヤレス充電できたり、タブレットスタイルの時などに自立させられるキックスタンドが備わっていたりと、日常的な使い勝手を高める気の利いたアイデアが随所に盛り込まれています」
今年はリモートワークの広がりで、ノートPCが再び脚光を浴びたが、このモデルはビジネスユースにおいても安心して使えそうだと井上さんは語る。
「折り畳めると聞くと、耐久性に不安を感じますが、実はさまざまなテストを行うなど堅牢性や耐久性に配慮した設計が施されています。また、豊富なアプリを使えるWindows機であることも魅力的。今後、多くのフォロワーを生み出しそうな、エポックメーカーとなりそうです」
ライター・井上晃さん
スマートフォンやタブレットといったデジタルギアを軸に、最新ガジェットやITサービスについて精力的に取材。Webメディアや雑誌を中心に、速報、レビュ ー、コラムなどを寄稿する
■"フォルダブルPC"という新ジャンルを開拓する
レノボ
「ThinkPad X1 Fold」(39万9300円~)
世界で初めて量産化された折り畳めるノートPCで、フラットに開けば13.3型の美しい有機ELディスプレイが広がる。カーボンファイバー製の筐体は高級感ある革製のカバーで覆われ、折り畳むと本や手帳のように気軽に持ち運べる。
▼フォルダブルの利点を活かした多彩な使い方
フォルダブルスタイルを活かし、使用シーンに合わせた多彩な使い方ができるのが本機の魅力のひとつ。ディスプレイをフラットに開けば13.3型のノートPCとして使えますし、電子書籍を読む時などは、軽く折り曲げると片手で持って読めるなど、とても便利です(井上さん)
▼使い勝手を高めるための気の効いた工夫が多彩
ディスプレイを傷めないよう、折り畳んだ際にはわずかにすき間が生じます。でも、そのデッドスペースに付属のミニキーボードを挟み、携行しながら充電できるようにしたり、ディスプレイを自立させるためのキックスタンドを備えたりと、気の利いた工夫が盛り込まれています(井上さん)
▼5G SIM対応など仕事に使える機能も充実
Windows機なのでビジネスユースに有効なアプリを多数使えますし、SIMカードを挿入できる5Gモデルも選べるため、出先からの通信も快適です。また、スタイラスペンを利用すれば、ペーパーレスの仕事環境を構築できます(井上さん)
■開発者が語る夢を形にした日本のモノづくり
今やフォルダブル型スマホは珍しい存在ではありませんが、ThinkPad X1 Foldの構想がスタートした5年ほど前は、折り畳めるディスプレイはこの世に存在せず、我々も「こんなPCができれば面白いのにね」と夢物語のレベルでした。
そんなある日、サプライヤーさんが折り畳める有機ELパネルの開発を進めていると耳にし、そこから話が本格的に進んでいきました。
開発で苦労したのは、ディスプレイを畳む際のカギとなる新構造のヒンジと、ディスプレイ強度を確保するための有機EL背面のパネルです。いずれも構造、素材ともに新たなチャレンジを必要としたパーツですが、探してみると日本には、高品質なものを供給してくれるサプライヤーさんが存在していました。日本のモノづくりは本当にスゴいなと改めて実感しましたね。
今回の初号機をステップに、フォルダブルPCがより身近な存在となるよう、我々は今後も次世代機の開発を進めていきたいと考えています。
レノボ 大和研究所 ThinkPad製品開発 Executive Director & Distinguished Engineer 塚本泰通さん
※2020年12月6日発売「GoodsPress」1.2月合併号掲載記事をもとに構成しています
<取材・文・写真/アップ・ヴィレッジ>
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