“究極の複雑機構”を搭載した「パテック フィリップ グランドソヌリ6301P」

■グランドソヌリ、ジャンピングセコンド機構も備えた最新モデル

パテック フィリップ
「グランドソヌリ6301P」 (時価 受注生産)

プラチナ製ケースに同社史上最も複雑なモデル「グランドマスター・チャイム」(2014年)から派生したミニット・リピーターやグランドソヌリ、プチソヌリというチャイム機構、さらに秒針が1秒ごとにジャンプするジャンピングセコンド機構を備えた「キャリバーGS36-750PSIRM」を搭載する複雑時計。ケース径44.8mm、手巻き、非防水。

▲同社は懐中時計の時代からミニット・リピーターを製造してきた。写真はレストア中のもの

▲6301Pのミニット・リピーター機構。ふたつの棒状のチャイムを3つのハンマーで叩いて音を出す仕組み

 

■衰退しかけた技術に息を吹き込んだパテック フィリップ

ケースに内蔵されている棒状のチャイムを金属のハンマーで叩いて、文字盤に表示されている時刻を美しい音で教えてくれる。これが “機械式複雑時計機構の究極” と言われるミニット・リピーター(ミニッツリピーター)機構だ。

懐中時計の時代に開発されたこの機構は19世紀末に腕時計でも実用化された。だが、クォーツ時計が開発・普及した1970年代以降、機械式時計の衰退と共にその価値が忘れられ、ほとんど生産されることもなくなり、その製造と調整の技術は絶滅寸前の状態に。

だが “世界最高の時計メーカー” を自認するパテック フィリップはこの技術の魅力と可能性を信じ、1980年代に新製品の開発に取り組み、この “時計芸術の極み” ともいえるメカニズムに新たな生命を吹き込んだ。

今回紹介するモデルは、2020年11月に発表されたばかりのその最新モデル。機能もメカニズムもデザインも、すべてが芸術的な、時計コレクター垂涎の逸品だ。

▲ミニット・リピーターの音や響きは、フィリップ・スターン会長(写真左)とティエリー・スターン社長(写真右)のふたりが自ら審査する

▲2020年に完成して稼働中の、PP6と呼ばれるジュネーブ本社の新工房。常に製品を進化させてきたパテック フィリップは生産設備も積極的に進化させている

▲工房内でムーブメントの部品製造から組立まですべてが集約されている

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※2020年12月6日発売「GoodsPress」1.2月合併号掲載記事をもとに構成しています

<企画・執筆・編集/渋谷ヤスヒト 写真/嶋田敦之>

 

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