■キャンプ道具のアパレル化が進行中
モノでいえば、2020年はメスティンやホットサンドのヒットが印象的だった。今年はどんなものが注目されるのだろうか?
野毛:「昔からあるものがある日突然、再燃する傾向は続くでしょう。ヘリノックスのチェアも落ち着いたと思ったらまたよく売れているんです。旅行などキャンプ以外のことを楽しんでいた人たちがコロナ禍で代わりにキャンプをはじめています。旅行などに使っていた潤沢な予算で道具を購入するわけで、少し前に流行ったモノ、他人と違うものを手に入れる。これが再燃の理由かも」
宮田:「道具のアパレル化が進んでいますよね。機能性重視ではなく、複数の道具を持っていて洋服のように気分やキャンプ場にあわせて選ぶ感じ。毎回違うテントを持ってくる人もいて。クルマにせよ道具にせよ、裕福なキャンパーが増えたと実感します」
沖田:「テントでも一時期すっかり見かけなくなったロッジ型テントの新作が増えています。ドーム型に比べて重いけれど、それでもよく売れていると聞きます」
宮田:「キャンパー自身がスタイルの多様化を意識していて、自分のスタイルにあうモノをわざわざ探し出すようです」
ガレージブランドが増えているのも、スタイルの多様化、人とは違う道具を持ちたい欲求のあらわれなのだろうか?
野毛:「とくに焚き火台はいろいろな業種が参入しています。こだわりのある人が既存の物に満足せず作ったので、それぞれいいところがある。どれがオススメと言いづらくなっています」
沖田:「大手が作ったものは軽くて機能的だけど、後発組は組み立てが面倒で重いものも。でも、その不便、面倒くささを楽しんでいますよね」
宮田:「軽さ、機能性が正義ではなくなったんでしょう。僕もいろんな道具を使ってきたんですが、近頃は本当に必要なのはなにかを考え、断捨離を進めています。残ったものが宝物。手元に残したのは韓国ガレージブランドのタープにもなる軍幕で、最近はこれで車中泊もいいかなと思っています」
沖田:「ボーイスカウトをしていて初期のコールマン・スポーツスターを持っていました。当時は面倒で手放したんですが、今になって後悔。考えてみると何十年も、手に入れては処分して後悔...を繰り返しているんですね。今、たくさんの道具に囲まれている人がいますが、気分で選ぶ時代の次は必要なモノを選択する時代に入るのかもしれません」
※2021年4月6日発売「GoodsPress」5月号掲載記事をもとに構成しています
<文/大森弘恵 撮影/逢坂聡>
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