衣食住、生活のあらゆるシーンに便利なアイテムが揃う無印良品。1980年代、日本がバブル景気に湧く中、あえて “消費社会へのアンチテーゼ” として生まれた無印良品は、国内外の幅広い世代へ支持を拡大し続け、現在、7500以上もの品目数を誇る。
「新発売の商品は平均すると毎月十数点もあるんです」と語るのは、株式会社良品計画のプレス担当である有山美恵さんだ。
「中には、お客様が気づかないくらい細かい改良を施して新しく発売している商品もあります。たとえば、脚付マットレス。1991年に発売したロングセラー商品ですが、適正価格を維持しながら、仕様を見直して使い勝手がどんどん向上しています」
無印良品といえばシンプルなデザインを思い浮かべるが、必ずしもシンプルさが万人に受けているのではないという。
「実際、初めから『シンプルなデザインにしよう』と商品設計しているわけではないんです。むしろ、他社製品にない機能を入れる場合もありますし『生活に必要なものを必要な形でつくる』ことが基本なんですよね。その中で、この塗装は必要か、この機能は必要か、突き詰めていった結果の意匠なんです」
「別売り」で拡張できる商品や住環境に応じて選べる商品も多い。たとえばダストボックスは、かつては縦開きのフタが付いていたが「フタはいらない」「この仕様だと我が家では使いにくい」といったユーザーの声を反映し、フタを別売りに。さらに横開き・縦開きを選べるようにした。無印良品の良品たる所以は、そうしたどんな部屋にもなじむスタイリングのしやすさにもある。
「作り込みすぎず余白を残し、使う方がアレンジできるようにしているのも無印良品の特徴だと思います。ポリプロピレンのメイクボックスを冷蔵庫の調味料入れに使っているお客様もいらっしゃいますね」
全国のムジラーがSNSにアップする「使い方アイデア」も枚挙にいとまがない。ファイルボックスといえば、デスクの上や書架に置いて書類の入ったファイルや冊子などを収納するのが一般的だが、皿類やフライパンを収納してキッチン棚を整理すれば、縦置きにできて取り出しもしやすい。ハンガーなどランドリースペースの小物収納に活用するユーザーもいる。それらもミニマルデザインで機能的な無印良品ならではの楽しみ方。いつ見ても楽しく、新たな発見がある。それが無印良品だ。