意外と名車揃い!? 誰もがお世話になった教習バイクを振り返る

■過去には「VFR400」が使われていたことも

さらに遡ると「VFR400」の教習仕様も存在しました。筆者が免許(当時は「中免」と呼ばれていた)を取ったときも、教習車は「VFR400」でした。90度V型の4気筒エンジンはカムシャフトをチェーンではなくギア(歯車)で駆動するカム・ギヤトレーン方式を採用していて、ヒュンヒュンという独特な回転音が記憶に残っています。この方式は高回転での伝達効率が高く、当時のレースでも活躍した名車でした。

 

■大型バイクも隠れた名車揃い!?

大型自動二輪免許の教習で、使用されているのが「NC750L」というモデル。市販車「NC750S」の教習仕様ですね。シリンダーを前傾させた745ccの並列2気筒エンジンを搭載し、低重心と力強いトルク特性による扱いやすさが特徴です。市販車としてはやや地味な印象のモデルですが、乗ってみると扱いやすいだけでなく、2気筒エンジンのトルク感が気持ち良く、ずっと乗っていたくなるような特性。長距離ツーリングも快適にこなせる“隠れた名車”と呼ばるモデルです。

筆者が大型免許を取得する際に乗ったのは、空冷4気筒エンジンを搭載した「CB750」でした。ホンダの歴史ある空冷4気筒エンジンは低回転でも気持ち良く、回転上昇もスムーズだった記憶があります。今や貴重な存在である大排気量の空冷エンジンを教習で味わえたのは、今となってみれば得難い経験でした。

 

■小型免許やAT限定免許用のバイクも

近年、取得者が増えているのが、排気量125cc以下のバイクを運転できる「小型限定普通二輪免許」。最短6日間で取得でき、50cc未満の原付一種と違い30km/hの速度上限や二段階右折が必要なくなることで人気の原付二種に乗れることから、需要が高まっているようです。

このクラスの教習車として採用されているのが「CB125F」の教習車仕様。ベース車の「CB125F」は欧州で販売されているもので、国内のラインナップにはないので馴染みが薄いですが、空冷単気筒のエンジンは低速時での粘り強い出力特性が特徴。5速ミッションとの組み合わせで乗りやすいマシンです。

125cc以下のスクーターに乗れるAT小型限定普通二輪免許は、さらに短い最短2日間で取得できるのが魅力。余談ですがこの免許、実はクラッチのない「スーパーカブ110」や「ハンターカブ125」にも乗れるので、かなりコスパの高い免許です。その教習に使われているのはホンダ「スペイシー125」の教習車仕様。前後輪連動のコンビブレーキを装備し、扱いやすさには定評があります。

そして、AT限定の普通二輪免許の教習には「シルバーウイング<400>」の教習車仕様が用いられています。どちらも現行のラインナップにはなくなってしまいましたが、シンプルなデザインと機能、そして扱いやすさには定評があるモデルでした。

*  *  *

多くのライダーが初めてのバイクとして触れる教習車は、ベーシックで扱いやすいモデルが採用されていることが多いので、見た目としては地味でもライディングの基本に触れられる性能を持ったバイク揃い。改めて乗ってみると、名車と感じられるものが多いはずです。

 

<文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

【関連記事】

◆街中最速&経済的!原付二種クラスの最新スポーツモデル8選
◆ツーリングに出たくなる!中免でも乗れるアドベンチャーバイク6選
◆街乗りにもツーリングにもちょうどいい!注目度上昇中のスクランブラーバイク6選

トップページヘ

この記事のタイトルとURLをコピーする