■音質を一番に考えるなら絶対ワイヤード
音質第一でヘッドホンを選ぶのなら、やはりワイヤードタイプのヘッドホンに行き着くと折原さんは話す。
「Bluetoothの技術も進化していますが、ワイヤレスで接続する分、どうしてもスポイルされる音域が生じます。そうした音の減衰という点では、やはり有線タイプが有利ですね」
そんなワイヤードタイプだが、ここへ来て先鋭化されたモデルが増えたという。
「数年前のハイレゾブームの際、多彩なモデルが登場して市場が盛り上がった有線タイプ。しかし今はそれが落ち着き、より高音質を追求したストイックなモデルが主流となっています」
そんなワイヤードタイプを使いこなすための秘訣を、最後に折原さんが教えてくれた。
「有線タイプは音の解像感に優れ、音場といった空間の広がりもしっかり再生できます。それだけに、プレーヤー直結でつなぐのではなく、ヘッドホンアンプを介して鳴らしてやると、ヘッドホンの性能をフルに引き出せるでしょう」
8. あらゆるジャンルの音楽をありのままの音で再生
ソニー
「MDR-1AM2」(実勢価格:3万2868円前後)
有線タイプの鉄板機種。超高音域を嫌味なく聞かせつつ、細かい音までしっかり聞かせる辺りに匠のワザを感じます。(折原さん)
広帯域再生を実現する40mm径のHDドライバーユニットを搭載し、ハイレゾ音源もクリアに再生。制振性に優れる樹脂材料を用いたハウジングは不要な振動を抑え、クリアな音質を実現する。小型軽量化とイヤーパッドの改良で、リスニング時の快適性も高めた。
9. ドイツでハンドメイドされる見た目にも美しい実力派
ベイヤーダイナミック
「T1 3rd Generation」(実勢価格:13万2000円前後)
ピュアないい音を聞きたい人向けのマニアックなモデル。音楽ソースに収録されている原音を忠実に再生します。(折原さん)
1テスラ=1万ガウス超の強力な磁力により、電気信号だけでは表現できなかった高い解像度、広いダイナミックレンジ、ひずみの低減を実現するテスラドライバーを搭載。第3世代となる本機では、従来のセミオープン型から開放型へと変更されている。
10. ダイナミック型とは一線を画す平面型
HIFIMAN
「HE400se」(1万6500円)
本機で特筆すべきは、やはり平面磁気ドライバーの採用でしょう。音場感や音の立体感がしっかり感じられます。(折原さん)
音場感と高出力で優れたサウンドを実現したユニークな平面型ヘッドホン。コイルが振動板表面の全域にわたって設けられ、振動板が磁力により均一に駆動。音のひずみを大幅に低減した。軽量設計のため装着感も上々だ。
11. 高音質なハイレゾをより高解像度に再生
ソニー
「MDR-Z7M2」(実勢価格:8万2368円前後)
『MDR-1AM2』と音の方向性こそ同じですが、ハイレゾ志向が一段と強く、より精緻な音までクリアに再生します。(折原さん)
100kHz再生が可能なHDドライバーユニットを採用。ヘッドホンでは最大級のネオジウムマグネットを搭載することで、ハイレゾ信号にも高感度で反応し、高解像度のクリアな音質を実現した。
12. 自然で臨場感豊かなサウンドを再生
ゼンハイザー
「HD 660 S」(実勢価格:6万円前後)
収録スタジオのエンジニアたちが愛用するものと同じ開放型のヘッドホン。原音に忠実な音場の広い音を楽しめます。(折原さん)
新しいトランスデューサー設計により高調波のひずみを抑え、より自然で臨場感あふれるサウンドを実現。超軽量なアルミニウムボイスコイルの採用で、超高音域での追従性も向上させている。
13. 振動板は4年の歳月を掛けて新開発
フォーカル
「CLEAR MG」(17万500円)
原音をありのままに再生する機種が多い開放型ながら、これは他の開放型とはひと味違う音空間を感じさせてくれます。(折原さん)
開放型のハイパフォーマンスモデル。マグネシウム・ドームを採用することで、緻密で臨場感ある⾳質を実現した。バランス接続に対応したXLR-4Pケーブルとキャリングケースを同梱する。
14. スピーカーのような定位感がユニーク
CROSSZONE
「CZ-8A」(20万9000円)
前方の空間にあるスピーカーから音楽を聴いているかのように聞こえてくる、頭外定位のサウンドが個性的です。(折原さん)
ヘッドホンは耳元のドライバーが生成する音場や音像が頭の中で聞こえる頭内定位が一般的だ。だが本機は、アコースティックな手段により音場や音像を自然に再現する頭外定位を実現した。
※2021年9月6日発売「GoodsPress」10月号28-31ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/アップ・ヴィレッジ>
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