ブームの復活に沸いた2021年、バイク好きの心に刺さった新モデル5選

1. バイクでもついにACCを実現したドゥカティ「ムルティストラーダ V4 S」

今年登場した新技術で驚かされたのがドゥカティの「ムルティストラーダ V4 S」です。クルマの世界では前走車を追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)は標準的な装備になりつつありますが、バイクではこのマシンが世界初採用。BOSCH製のレーダー・システムを前後に備え、ブラインド・スポットから近付くクルマも検知してくれます。

実際に高速道路で体験してみましたが、前走車をしっかり追走してくれて加減速もスムーズ。途中で前走車との間にクルマが入ってきた際も、車体は安定したまま自動でブレーキがかかり不安感は全くありませんでした。4輪車とは異なり、ブレーキがかかると不安定になることもある2輪車でも、安定した制動が可能なのは電子制御が緻密にされているのに加えて、車体設計が優れていることの証明でもあります。

同ブランドの新たな主流となりつつあるV4エンジンを搭載し、セミアクティブ・サスペンションやスマホとのコネクト機能も備え、新たなレベルの快適なツーリングを楽しめるマシンです。

 

2. 今後はハーレーダビッドソンの主流になる!? 水冷エンジン搭載の「スポーツスターS」

ハーレーダビッドソンの「スポーツスター」といえば、1957年の登場以来、同ブランドの“顔”的な存在だったシリーズ。空冷Vツインエンジンの鼓動感を活かした“スポーツ”を愉しめるモデルでしたが、2021年はこのシリーズが水冷化された年として記憶されるかもしれません。

今年登場した新型「スポーツスターS」はREVOLUTION MAX 1250Tと呼ばれる水冷Vツインエンジンを搭載。最大トルクは125Nmと空冷1200ccの96Nmと比較すると大幅なパワーアップを果たしています。

空冷のスポーツスターは“スポーツ”とは言いながらもスピードを競うようなキャラクターではなく、鼓動を感じながらバイクを操る愉しさを味わうものでした。それに対して、水冷の「スポーツスターS」は国産のスーパースポーツに匹敵する加速感を味わえるマシンになっています。

こう書くと、のんびりも走れるのがスポーツスターシリーズの魅力だったのに…と感じる人もいるかもしれませんが、新型の水冷パワーユニットも低回転でのトルク感もあって、のんびり走っても気持ちいいエンジン。この懐の広さに、今後の同ブランドの主力を担うことは確実だと感じました。

ちなみに、空冷スポーツスターの最終モデルとなる「FORTY-EIGHT FINAL EDITION」は限定1300台で予約受付中。どうしても空冷がいいという人はこちらを狙いましょう。

 

3. 乗って感じた驚愕の進化! ヤマハ「MT-09」

実際に試乗したマシンの中で一番驚き、そして一番面白かったのがヤマハの「MT-09」です。今回のモデルチェンジで3代目となりましたが、過去のモデルも3気筒エンジンならではの爆発的な加速力にフォーカスした、ファンの多いマシンでした。ただ一方、個性が強いマシンだったので、万人受けするマシンとは言いづらい部分がありました。

しかし、フレームやエンジンまで一新した新型「MT-09」は、刺激的な加速という魅力にさらに磨き上げながらも、扱いやすさが飛躍的に向上しています。“扱いやすいジャジャ馬”という相反する要素を両立しているところに最も驚きました。

過激とも言える加速力を持ちながら、アクセルは開けやすいという特性なので、ある意味自制心が求められるマシンでもあります。

 

4. 地味だけど意外と売れているホンダ「CRF250L」

オフロードに興味がない人からは注目されず、オフ車の中では生産終了となった「セロー」に隠れてしまうというやや不遇な存在だったのが「CRF250L」です。2020年末に発売の予定が、コロナ禍による輸送遅延で国内での販売は2021年にずれ込んでしまいました。とはいえ、兄弟モデルの「CRF250RALLY」と合わせると、オフロード車としては堅調な売上を記録しています。

乗ってみると、売れているのも納得で、このマシン非常に良くできています。前モデルより4kg軽量化を果たしていますが、実際にオフロードを走ると数値よりもさらに軽く感じられます。重心から遠い位置にあるパーツを軽量化し、マスの集中化を図るなど細かい積み重ねの成果ですが、オフはもちろんオンロードでも乗りやすく、一度乗ると欲しくなってしまう理由がよくわかるはず。

サスペンションストロークの長いSが付くバリエーションモデルも用意されているので、オフロード好きはそちらを選ぶこともできます。

 

5. シリーズの人気を決定づけたホンダ「レブル1100」

近年の大ヒットモデルといえば、2017年に発売された「レブル250」。発売当初は注目されるモデルではありませんでしたが、足付き性の良さや運動性能の高さが口コミで広がり、250ccクラスではトップを独走するベストセラーモデルとなりました。その「レブル」シリーズの長兄に当たるのが、今年発売された「レブル1100」です。

250はコストパフォーマンスの高さが評価された部分もあるので、100万円オーバーの大排気量モデルが支持されるのか? という見方もありましたがこちらもヒットモデルとなっています。

発売以来、大排気量車の人気トップを走り続けているカワサキの「Z900RS」には惜しくも及ばなかったものの、あわや追い落とすかという勢い。このシリーズが、単に足付き性やコストパフォーマンスで評価されていたわけではなく、他の何にも似ていないスタイルや、クルーザーでありながらワインディングでも高い運動性能を実現しているという魅力がユーザーに支持されていることを証明したと言えるでしょう。

*  *  *

久々に”バイク人気の復活!”となった2021年ですが、魅力的な新型車も多かったものの、生産や流通の状況が芳しくなく、購入しても納車時期が不透明といった現象も起きてしまっています。来る2022年も魅力的な新型車の登場に期待するとともに、こうした品薄状況が早く改善されることを願ってやみません。

 

>> 【特集】2021年人気アイテム総まとめ

<文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

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