【趣味な男の欲しいモノと秘密基地】
現在、空前の模型ブームが起きている。コロナ過の巣ごもり需要、さらにはSNSの流行により、改めて模型をじっくり楽しもうとするファンが増えてきたようだ。そこで、発行部数11万部を誇る人気No.1模型誌『月刊ホビージャパン』の副編集長である木村学さんに、最近の傾向をふまえつつ、今年の模型業界について占ってもらった。
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昨年はコロナの影響による巣ごもり需要などもあり、プラモデル市場が大きく伸びたと木村さんは振り返る。
「キャラクターモデルのほか、カーモデルや戦車などのスケールモデルまで、多岐にわたるジャンルが好調でした。各社とも、ここ数年で例を見ないくらいの販売数だったと聞いています」
特にガンプラは、かつて〝第一次ガンプラブーム”といわれた頃をしのぐほど。小売店やネットショップから新旧ガンプラが消え、争奪戦となっている。
「ガンプラに関しては急激な人気の高まりで、多くのファンが入手に危機感を持ってしまい、買いだめに走ったことも品不足の原因でしょう。ガンプラは再販もありますが、一度品切れすると、次の機会は数カ月後の可能性もありますからね」
転売行為も問題のひとつとなっていたが、ここ数カ月で状況は変わってきたようだ。
「販売店の方に話を聞くと、最近は行列を作って購入する人の多くは(肌感覚的に)転売目的ではないと。本当に欲しい人が、こぞって購入しているようです」
一方、プラモデルの人気に伴って、工具や塗料といった模型製作道具に対するニーズが高まっていることも見逃せない。
「塗料でも瓶以外にも、缶スプレー、エアブラシシステムなども非常に好調だったようです。おそらく“出戻りのモデラー”たちはもちろん、コロナ過の巣ごもりで模型製作を新たに始めようと思ってくれた人が、非常に多かったんでしょうね」
そんな昨年の動きをふまえ、今年は“買い揃えた模型を作ること”がトレンドになるのではないかと木村さんは予想する。
「“買う”よりも“作る”傾向が強まり、塗料や工具の販売がより好調になると思います。売り上げが伸びれば、その分、開発資金も潤沢になり、塗料などの性能もさらに上がるはずです」
『月刊ホビージャパン』副編集長 木村学さん
1970年、大阪府生まれ。大学生の頃よりプロモデラーとして活躍。『月刊ホビージャパン』のほか『ホビージャパンエクストラ』、『HJメカニクス』など数々の雑誌やムックを担当する