■アジア圏でガンプラ人気上昇中!
『月刊ホビージャパン』副編集長の木村さんは、プラモデルを“作る”技術は過渡期にきているとも感じているようだ。
「今、製作技法は多くの技術革新を経て“踊り場”にきていると思います。例えば塗装は、エアブラシでグラデーションをきれいに表現するMAX塗り、多彩なウェザリング技法、そして昨今のアニメ塗りと、時代による流行とともに表現の幅が広がってきました。それらの技術が、ある意味で、行き着くところまで到達した今、新しい表現方法が生まれつつあります」
そんなプラモデルの製作において、大きな影響を持っているのが、何といってもガンプラだ。
「日本におけるキャラクター模型のカテゴリはガンプラが支え、けん引してきたといっても過言ではありません。ガンプラは40周年を超えて、ファンの中枢となる第一次ガンプラ世代は今、50〜60代になりました。その多くは、各業界で活躍されてきた人たちであり、自身の仕事や趣味で身に付けてきた知識や技術を、ガンプラで表現する人が増えてきているんです。ロケットの技術者が、ロケットに付いていそうな仕掛けを本気で組み込むといった作例も見かけます。なお“自分の知見をガンダムに生かす”という点では、2020年に登場した横浜の“動く1/1ガンダム”にも同じことがいえます。設計や開発に関わった人は、ほぼ全員、ガンダムやガンプラのファンですからね」
今春、福岡県の商業施設においてガンダム立像が新たに建立されるのに伴い、ガンダムに対する注目が再び集まるのではないかと、木村さんはみている。
「立像の題材となる“νガンダム”は、人気のある機体ですからね。新しいガンダム立像をきっかけに、ガンダムおよびガンプラに興味を持つ人が、再び増えるのではないでしょうか」
また現在、中国・上海に1/1のフリーダムガンダム立像が制作された。海外でもガンダムやガンプラの人気がある。
「現状、ガンプラに関する需要がアジア圏で大幅に増加。昨年は東南アジア初進出となるTHE GUNDAM BASE THAILANDがバンコクにオープンしました。なぜかプラモデルって、あまり製作環境に適していない国や地域ほど、人気が出ることがあるんですよね。例えばタイは、亜熱帯なんで湿度も高く、塗装に向かないはずなんですけど。もしかしたら厳しい環境のほうがモデラー魂に火がつくのかもしれません(笑)。海外市場はまだまだ伸び代があると考えています。今年はNetflixでハリウッド版ガンダムも配信されますし、次は、欧州や北米でも人気が出るチャンスだと思います」
【TOPIC④】実物大立像&新施設オープンで「νガンダム」ブームが来る!?
実物大ガンダム立像はガンプラのブレイクスルーでした。実物大を体感できることは模型表現のステップアップにつながりますからね(木村さん)
▼『ガンダムパーク福岡』2022年4月開業予定
▼実物大νガンダム立像のエントリーモデル
[GUNDAM SIDE-F 限定商品]
「ENTRY GRADE 1/144 RX-93ff νガンダム」(1430円)
作りやすさを徹底追求したENTRY GRADEのνガンダム。ニッパーなしでも組み立てが可能だ。エントリー(入門モデル)ながら、可動やプロポーション、色分けとクオリティはハイグレード級。象徴的なロングレンジ・フィン・ファンネルも付属する。
▼実物大νガンダム立像の本物感を追求。MSのリアルが見える!
[GUNDAM SIDE-F 限定商品]
「RG 1/144 RX-93ff νガンダム」(4950円)
緻密なパーツ構成でMSの本物感を追求するRG(リアルグレード)モデル。立像と合わせて細かな装甲分割や色分けがなされ、細部の情報量も多い。関節可動と連動して装甲がスライドする「マルチリンク・ギミック」なども見どころ。
▼デフォルメだって伊達じゃない!
[GUNDAM SIDE-F 限定商品]
「BB戦士 RX-93ff νガンダム」(1650円)
デフォルメされた姿がカッコかわいい。テトロンシールと成形色でカラーリングを再現。パーツの表裏を変更することで瞳の有無を選択できる。
©創通・サンライズ
【TOPIC⑤】2021年に売れたバイク模型とともに精巧なクルマのプラモデルにも注目!
ニッチなバイクモデルも、昨年は人気でした。フェアレディは窓枠までパーツ分割されており、タミヤの技術力に驚かされます(木村さん)
▼世界的人気を誇る日本製傑作スポーツカー
タミヤ
「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」(4620円)
世界的人気を誇るフェアレディZの中でも、初代S30型の最上級モデルとなる240ZG。ロングノーズ&ショートデッキのファストバック型クーペフォルムは、まさに実車そのもの。窓枠やヘッドランプカバーのリムはメッキ仕様の別パーツなので、ボディとの塗り分けをしなくても美しく仕上がる。
▼ブルー&シルバーのMotoGPチャンピオンモデル
タミヤ
「1/12 チーム スズキ エクスター GSX-RR '20」(4400円)
スズキ創立100周年の2020年に、MotoGPチャンピオンを獲得したロードレーサーをキット化。1000cc直列4気筒エンジンを精密に再現でき、空力を追求したカウル類など、美しいフォルムを楽しめる。カウルはビス止めで完成後も脱着可能だ。カウルの塗り分け用マスクシールとスタンドが付く。
【TOPIC⑥】懐かしい“トレインボット”が復活!トランスフォーマーから新ライン登場
いわゆる合金トイやダイキャスト製ロボットは各社製品とも目覚ましい進化が見られます。今や国内外の各社が鎬を削る、ホビーのホットスポットです(木村さん)
▼往年ファンが胸アツな“0系新幹線”のロボット
タカラトミー
「トランスフォーマー MPG-01 トレインボットショウキ」(1万9800円)
「GATTAI(合体)」「GIANT(巨大化)」「GREAT(グレート)」をテーマにした新ライン「トランスフォーマーMGP」の第1弾。東海道新幹線0系からロボットに完全変形する。トレインボットゲツエイなど、今後発売予定のトレインボット5体との合体で、巨大ロボット「ライデン」が完成だ。
©TOMY JR東海承認済 JR 西日本商品化許諾済
▼ブルートレインからロボットへ変形!
タカラトミー
「トランスフォーマー MPG-02 トレインボットゲツエイ」(1万7600円)
MGPシリーズの第2弾。EF65形電気機関車(ブルートレイン)からロボットへの完全変形を実現した。武器、パンタグラフ、ジョイントパーツが付属する。レールを使って、鉄道模型のようなディスプレイも可能だ。巨大ロボット「ライデン」合体時は右脚のパーツになる。
©TOMY JR西日本商品化許諾済 ©東映
【TOPIC⑦】往年ファンの物欲を刺激する豪華仕様の超合金にも注目!
最近は豪華仕様の商品が増えています。ユーザーの年齢層が上がり、子供の頃、購入できなかった超合金の最新モデルなどはつい買ってしまうようです(木村さん)
▼超合金魂史上最大級!子供の頃の夢が今叶う
BANDAI SPIRITS
「超合金魂 GX-100 ガイキング&大空魔竜」(8万2500円)
超合金魂シリーズの記念すべき100体目。大空魔竜は全長約75cmという超合金魂史上最大級の大きさを実現。大空魔竜に内蔵された音声ICにより、番組主題歌を再生可能だ。3機のマイクロポピニカ仕様の恐竜メカが付属。
©東映アニメーション
【TOPIC⑧】SDGsを推進する観点からカプセルトイのエコ化も加速する
SDGsに対する関心の高まりで、最近のカプセルはエコな工夫も。カプセルを商品の一部として有効活用するアイテムもありますね(木村さん)
▼空のカプセルを再資源化!ホビーもエコな時代に
バンダイ
「リサイクルエコカプセル」
現在、バンダイの一部のガシャポンは空カプセルを回収し、それを原材料とするカプセルを使用。その一方、話題となったダンゴムシをはじめ、カプセル自体のない商品の開発も進んでいる。ホビーにもエコ意識の高さが不可欠だ。
「ガシャポン バンダイオフィシャルショップ」や「ガシャポンのデパート」などのショップには回収ボックスを設置。回収量は1年で約20トン、カプセル約400万個分の見込み。
※2021年2月4日発売「GoodsPress」3月号34-37ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/桑木貴章>
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