■トップランナーに認めてもらえればいい
この最新モデルは、2020年1月、社長直轄の組織「Cプロジェクト」が発足し開発がスタートした。「C」は頂点の頭文字を表しているというから、アシックスの頂点を目指すプロジェクトに対しての意気込みが強く表れている。
「アシックスのシューズは幅広いランナーに向けたものが多いのですが、このシューズに関してはトップをとることだけ、トップ選手が記録を出すことだけを考えて作られました」
通常は1足のシューズを開発するのに大体2年ほどの時間をかけるが、今回は1年という短い期間。かなり急ピッチで開発が進められた。
行ったのが選手へテストシューズを渡してフィードバックをもらって改良を重ねること。いつもより種類を多く、しかし短期間でテストは行われた。
「今回気を付けたのは、とにかくトップ選手の声に耳を傾けることでした。社内にもフルマラソンを2時間30分を切って走れる走力をもったトップ市民ランナーがいます。彼らの感想も参考にしようと思っていましたが、実際に話を聞いてみると、本当のトップ選手とは全く逆の感想をもらうこともありました。今回はとにかくトップ選手の声を聞いて頂点を目指すシューズづくり。バランスのいいシューズづくりのためには、広く声を集める必要があるかもしれませんが、そうすると“丸い”フラットな印象のものができ上がります。今回に関してはその辺りの声をシャットアウトしたことで、トップランナーには認めてもらえるトガッたものができたと思っています」
このようにトップ向けのシューズがリリースされる一方で、市民ランナー向けのシューズもしっかり作られている。マジックスピード、ハイパースピードがこれにあたる。
「これらのシューズは、メタスピードシリーズのテクノロジーを継承しつつ、市民ランナーが履きやすい、履いてタイムを出しやすい、さらにはお求めやすい価格になっています」
ランナーのレベルやトレーニング方法に合わせて最適なシューズを提供する。細かいニーズに最適なシューズが多数あるのがアシックスの強み。トップランナーから市民ランナーに至るまで、全てのランナーへアシックスのシューズを。いまだ“満足していない”国産トップブランドの逆襲はすでに始まっている。
▼ピッチ型ランナーに最適
アシックス
「METASPEED EDGE」(2万7500円)
※2021年2月4日発売「GoodsPress」3月号54-55ページの記事をもとに構成しています
<取材・文/今雄飛(ミラソル・デポルテ)>
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