時計ライター&コレクターが考えるアンティークウォッチの楽しみ方【大人のひとり時間充実モノ】

■コレクションの1本1本に思い出と物語があります

▲スイスのビエンヌに本社を構えるオメガ。その博物館の館長とも親交が深く、コレクションを絶賛されている名畑さん。こちらはクロノグラフの「スピードマスター」を中心にしたコレクション。「シーマスター」や「レイルマスター」も自慢の逸品

アンティークウォッチを収集するなら、自分がお気に入りのブランドやモデル、テーマを決めることを勧めたい。

名畑さんがお気に入りで情熱的に収集してきたのが、オメガとセイコーという、スイスと日本を代表する2つの老舗ブランド。なかでも高精度な3針のシンプルモデルが中心だ。

オメガの場合は、昔スイスの天文台が行った精度コンクールに関連したモデルが中心。またアポロ計画で宇宙飛行士と共に月に行った、通称“ムーンウォッチ”も大好きで収集している。

セイコーの場合も3針の「グランドセイコー」「キングセイコー」を中心に収集してきた。

そのコレクションの中には、ブランドの関係者も驚くレアモデルがいくつもある。どれも地道にアンティークショップやフリーマーケットなどを訪ねている間に出会ったものだという。

「アンティークウォッチショップでは『時計には掘り出しモノなどありません。今、ここで購入した方が良いですよ』というセールストークを聞きます。でもそれは間違い。掘り出しモノは必ずどこかにあります。ぜひあなたの手で、自分の『掘り出しモノ』を見つけてください」

▲こちらは、天文台コンクールや精度検定所で優れた成績を残したオメガの高精度ムーブメントを搭載したもの、またはその関連コレクション。時計マニアの間では「30mmクロノメーター」と呼ばれ、中には一般に市販されていない精度検定用と思われるレアモデルも

▲「グランドセイコー」「キングセイコー」を中心にしたセイコーのコレクション。「ロードマーベル」の歴代モデルや「グランドセイコー」「キングセイコー」など、セイコーマニアにとっては垂涎のモデルがズラリ

 

■名畑政治さんからアンティークウォッチ入門者に5つのアドバイス

 

1. 掘り出しモノは必ずある

アンティークウォッチショップでは「掘り出しモノなどないから、今、これを買いなさい」とよくいわれるもの。でもそれは間違い。掘り出しモノはどこかにかならずある。知識と経験で審美眼を身に付ければ、必ず見つかるものです。

 

2. 人気モデルを無理して買わない

ロレックスやオメガを筆頭に、人気ブランドの人気モデルは、どうしてもアンティークウォッチの値段も高め。他人の目を意識して見栄を張り、無理して買うと結局後悔することに。背伸びをしないで自分が納得できる1本を探しましょう。

 

3. まずはシンプルな手巻きのノンデイトモデルを

アンティークウォッチも時計。だから、ちゃんと動くものでないと持つ意味がない。そこでオススメしたいのが、シンプルな手巻き、ノンデイト(日付なし)の針モデル。壊れにくく、修理やメンテナンスの費用も安くて済みます。

 

4. オススメは造りがしっかりしたこの4ブランド

入門者にオススメしたいブランドが、モバードやロンジン、ジャガー・ルクルト、IWCの1950年代のモデル。価格もお手頃なものが多いし、ムーブメントやケースの造りがしっかりしていて、メンテナンスをすればきちんと動くはずです。

 

5. 修理屋さんは純正部品を使って行うところで

アンティークウォッチを楽しむとき、欠かせないのが時計修理屋さん。費用が安過ぎるところは純正部品を使わず、価値を損なう可能性も。なので、選ぶなら正規のメンテナンスをブランドから引き受けているところをオススメします。

 

■現行品でアンティークの味わい 復刻モデルを楽しむという方法も

ロンジン
「ロンジン ヘリテージ クラシック」(29万8100円)

ロンジンが1934年に発表した「セクターダイヤル」が特徴の手巻きモデル。そのデザインを現代的なサイズ、最新の自動巻きムーブメントで再現。現代的な精度や防水性も備えガンガン使えるのが魅力。SSケース。

>> 特集【大人のひとり時間充実モノ】

※2022年4月6日発売「GoodsPress」5月号72-75ページの記事をもとに構成しています

<取材・文/渋谷康人>

 

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