【安くても傑作モノ】
イエナカエンタメの代表格であるオーディオ&ビジュアル。「いかにコスパ良く良質なAV環境を構築するか」をテーマに、識者とオーディオ専門店のスタッフが対談。そこから導き出されたオススメの逸品を紹介する!
(写真左)
オーディオ・ビジュアル評論家
鴻池賢三さん
AV機器メーカーでの勤務経験を活かし各種メディアで活躍。THX/ISF認証ホームシアターデザイナー。AV機器の有力アワード「VGP」審査員、同ライフスタイル分科会座長。情報サイト「AllAbout」ガイド
(写真右)
AVAC新宿本店店長
明石昌洋さん
AVAC(アバック)新宿本店
全国展開する国内最大級のホームシアター専門店。ショールームで実際に機器を視聴できるのはもちろん、部屋の間取りや目的に合わせてプロによる的確なアドバイスがもらえる。
住所:東京都新宿区西新宿7-5-9 ファーストリアルタワー新宿3F
営業時間:11:00〜19:00
休:水曜 ※来店は事前予約推奨
■手軽な機器も続々、サブスク音楽を高音質で
鴻池さん(以降敬称略):現状を見ると、やはりサブスクリプションサービスの影響力はものすごいですよね。今まではCDを買って、その都度入れ替えたりと少し手間がかかりましたが、今はスマホがあれば、いつでもどこでも好きなだけ音楽が聴けますから。以前と比べても、音楽を楽しむ層が増えた気がします。
明石さん(以降敬称略):昔の音楽好きって、オーディオ機器も好きでないといけないみたいな雰囲気がありましたが、今は1人1台スマホを持っていて、音楽を聴くということのハードルがなくなったと思います。
鴻池:確かに僕らが若い時代は、どのメーカーのどの機器を買うかなど、音楽を聴くよりもハードを買うのが目的になっていた部分もありました。そもそも小遣いで買えるCDは月に1〜2枚程度。同じ曲を繰り返し聴いていたりしました(笑)
明石:今はもうサブスクで月に千円前後で、何曲でも聴けますから。
鴻池:ストリーミングもロスレスになって、どうせなら高音質で聴きたいというニーズに応えてなのか、ハイレゾ対応機器も増えてきましたね。
明石:Bluesoundの「NODE」(「サブスク音楽を高音質で楽しみたい」に登場)など、まさににそれです。ストリーミング再生に特化したプレーヤーで価格も10万円以下。既存のシステムにつなぐだけでストリーミング音楽を高音質で楽しめます。アプリケーションも秀逸でサクサクと快適に音楽を聴けます。
鴻池:明石さんも挙げられましたが、マランツの「MODEL 40n」(「サブスク音楽を高音質で楽しみたい」に登場)もいいですよね。HDMI ARCでの音声入力に対応しているので、テレビの音も手軽に高音質にできます。
明石:価格はそれなりにしますが、本格的なアンプの音で利便性もいい。性能とのバランスを考えると、決して高すぎるということはないと思います。
鴻池:同じマランツで「M-CR612」(「サブスク音楽を高音質で楽しみたい」に登場)も悪くないですよ。コンパクトだから部屋が狭くても置きやすく、価格も7〜8万円程度。普段、高音質のオーディオで音楽を聴いている人がサブスクで聴いても満足できると思います。
明石:ストリーミングだけでなくCDも聴けますし、このワンボディは魅力です。
鴻池:音楽だけでなく、NetflixやAmazonプライムなど、DVDを借りに行かなくてもサブスクで映画が見られる時代。手軽にホームシアターを楽しみたいとなった時に困るのがプロジェクターの設置場所。例えばアンカー・ジャパンの「Nebula Nova」(「手軽にホームシアター環境を構築したい」に登場)は、工事不要で天井に設置できるタイプ。配線も必要ないので利便性に優れているし、明るさも800ルーメンあるので十分です。
明石:実は今、超短焦点プロジェクターの売り上げが伸びています。ただ、超単焦点プロジェクターはスクリーン直下から投影する仕組みなので、どうしても歪むことがあります。その点elitescreensの「FTE100XH2-CLR」(「手軽にホームシアター環境を構築したい」に登場)は、両サイドからワイヤーで引っ張るうえ、下からの光を前に反射する加工がされていているので、超短焦点プロジェクターには合っています。
鴻池:プロジェクターは制約が多いんですが、こういうスクリーンなら解決できますね。プロジェクターの選び方について、何かありますか?
明石:機種よりも部屋の環境次第でしょうね。あとはカラーブレーキングノイズが気になる方もいるので、やはり買う前に実際に試してみることが大事だと思います。
鴻池:最近はテレビも大画面が普通になりました。テレビを軸にする場合、明石さんはLGの「86QNED90JPA」(「オールマイティにAVを満喫したい」に登場)を挙げられていますね。
明石:なんとなく大画面テレビは65インチが一般的みたいな市場感覚の中で、「86QNED90JPA」は86インチであるにもかかわらず、価格もこなれています。さらに大画面を求める方には選択肢のひとつになると思います。
鴻池:大画面テレビの音質を手軽にアップさせたい場合、サウンドバーが人気です。ネットに繋がってストリーミング音楽を再生できる製品もあります。今後はさらに高級で高音質なモデルも登場しそうです。
明石:映画などを本格的に鑑賞するなら、やはりリアルなサラウンドシステムがお勧めです。
鴻池:Dolby Atmosなどはいかがですか?
明石:AVアンプもエントリークラスからDolby Atmosに対応しています。当店では環境とコストが許せば、基本的にDolby Atmosへの対応をお勧めしています。反射型のイネーブルドスピーカーを使えば賃貸の方でも実現できるはずです。
鴻池:そうですね。アンプはやはりホームシアターの要で、「AVセンター」と呼ぶくらいです。私はその代表としてヤマハの「RX-V6A」(「オールマイティにAVを満喫したい」に登場)を挙げましたが、アンプなら3.1.2chといった構成にも柔軟に対応できますし、ストリーミングの音楽も聴けるなど非常に多機能ですね。
明石:ところで、ソニーの「SRS-RA5000」(「AV機器はできるだけミニマムに抑えたい」に登場)を挙げられています。
鴻池:コンパクトなモデルが多いスマートスピーカーの中では大きい方ですが、最新の立体フォーマットによる音楽を、たったひとつで驚くほど立体的に再生してくれます。置き場所を選ばないのも、オーディオの革命といえます。
明石:音楽ありきの生活ではなく、生活の中に音楽がある感じですね。確かに、そういう考え方にはぴったり合う商品です。
鴻池:そもそも1台しかないので、部屋のレイアウトからも解放されるというか。
明石:スピーカーを目立たせたくない時はオール・イン・ワンを好む人も最近は多いです。ただ、1台で完結させるのではなく、他の機器と組み合わせることで生まれる発展性も、機器選びの際は少し考えてほしいのが本音です。
鴻池:確かに、気に入ったアンプやスピーカーを揃えるのも楽しいものです。今ならスマホ操作でスマートスピーカー、アンプ、ネットワークプレーヤーへと自在に配信して、家中を音楽で満たすことも可能になりました。できることが増えて迷いも増えますが!
明石:目的や部屋の環境、予算は、できれば明確にしておいた方がいいですね。
鴻池:そうですね。そのためにも、ユーザー自身が事前に調べておくことも大切ですね。