■“ものを運ぶ鞄”から“感情を満たす鞄”へ
「これまでポーターでは鞄を“荷物を大切に運ぶ道具”として捉え、持ちやすさや使いやすさといった実用性を、言い換えるなら鞄としての物質的価値を追求し続けてきました。その道のりは、日本の職人さんたちと二人三脚で歩んできたものです。90年代までは、今ほど“日本製”に誇りを持つブランドは多くありませんでしたが、ポーターは質の高い国産鞄を製作し続けてきました。そのブレない姿勢こそが、今日“ポーター=丈夫で使いやすい鞄”と認知していただいている要因だと思います」
ただ、ここ数年で鞄そのもののあり方を再考する必要に迫られたのだとか。
「外出を自粛する人も増え、鞄自体の必要性が希薄になり、物質的価値を上積みしただけの鞄は、今の時代感に合致しない」
悩んだあげく、社会情勢に適応するように、なかば進化を促される形で開発したのが“ポーター センシズ”だったそう。
「キーワードは“感情的価値”。道具としての満足感だけじゃなく、名前通り五感に訴えかける鞄こそが、閉塞感が漂う現代に求められているんじゃないかと思ったんです。ただ従来にはない発想だったので、当初は社内でもなかなか理解されませんでした。しかし、コンセプトを丁寧に伝えることで次第に共感してもらえるようになりました。もしかしたら、これは先達たちがエポックな名作を作る際に辿ってきたのと同じプロセスかもしれません」
ポーター史に新たな一歩を刻む形で開発された同シリーズには、特徴的な2つのギミックが盛り込まれている。
「“αGEL”は負荷の多い部位に多機能素材を採用し、身体への負担を軽減させています。もうひつとは“匂い袋”。300年以上の歴史を誇る京都の“香老舗 松栄堂”さんに、オリジナルの香りを調製していただきました。揺れるたびに心落ち着く香りが漂い、癒しをもたらしてくれます。ストレスを軽減してポジティブな気持ちにしてくれる。今の時代にこそ求められる新しい鞄ではないでしょうか」
株式会社𠮷田 開発本部 松原賢一郎さん
97年入社。新製品の開発から店舗開発、新業態のブランディング、コラボアイテムの企画まで、あらゆる業務に携わってきた同社のブランドディレクター。コロナ禍を機に、時代に即した新定番として“ポーター センシズ”を開発
■センスいいね!と一目置かれるビジネス鞄
1. デイパのようにも使える2way仕様
PORTER SENSES
「2WAY PACK」(5万1480円)
オン・オフ、年齢、性別も問わず使えるように開発された革新シリーズ。ミニマルデザインと多彩な収納でビズ鞄として十二分な実用性を有しながら、要所に“αGEL”を採用。さらに心地良い香りを嗅いだ時はストレス値が13%下がるという研究結果を受け、創業300年を超える香老舗“松栄堂”謹製の“匂い袋”もセット。癒される鞄という新境地を開いた。W43×H28×D9cm