「旧いバイクはガレージ保管が基本ですね。僕はそれをなるべくいい状態で維持して、次の世代につなげてあげるのが旧車乗りの責務だと思っています」
そのため水口さんはメンテナンスはプロに任せて、ガレージを空調完備かつ油・ホコリのないクリーンな空間に仕上げている。というのもこのガレージには希少な旧車だけでなく、こだわりのオーディオシステムも備わっているからだ。
「壁一面の棚板収納は吸音効果を考慮して設計しました。ガレージでは大抵ソファに寝転んで、大音響で音楽を流しながらバイクを眺めて過ごしてます。僕の至福の時間です(笑)」
16歳で二輪免許を取得して以来、自分の傍らには常にバイクの存在があったという水口さん。しかし現在は会社を率いる多忙な経営者であり、やんちゃ盛りな3人息子の父である。バイクと向き合える時間はかなり限られているのが現状だ。
「休日で自分のためだけに使える時間はあまりないんですよね。でも子どもが昼寝している間とか、ほんの1時間でも体が空いたら僕は迷わずバイクに乗ります。別に遠くに行きたいわけじゃなくて、ただバイクで走ることが自分にとって一番のリフレッシュになるんです」
そんな短いツーリングでも、パンヘッドやショベルヘッドの独特な乗り味がもたらす時間は濃密だ。リジッドマウントされたエンジンの力強い鼓動感、タイヤと路面の接地感。さまざまな情報が体にダイレクトに伝わる感覚は、現代のバイクでは味わえないと水口さんは語る。
「旧いバイクだから常に100%のパフォーマンスを出せるわけじゃないし、操作にもコツがいる。でも乗っているとバイクのコンディション、僕の体調、操作のタイミングと、すべての条件がガチッと噛みあう瞬間がある。そんな時のバイクとの一体感が、言葉にならないくらい気持ちいいんですよね」
休日のガレージでは、まだ小さな子どもたちが興味津々でバイクにまたがってくるそうだ。
大人になった彼らにいつか愛車を譲れたら…。走るだけでなく、そんな未来に想いを馳せる時間もまた、水口さんのバイクライフの一部なのだ。
水口泰基さん
自動車整備士や左官職人を経て、(有)T-PLASTERを設立。空間開発、店舗内装の設計・ 施工、住宅リノベーション、無垢材家具の 製作・販売など幅広い事業を手がけている
※2022年9月6日発売「GoodsPress」10月号100-101ページの記事をもとに構成しています
<文/GoodsPress編集部>
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