【令和の新殿堂入り傑作モノ】
毎年メーカーから続々とニューモデルが登場し、ノイズキャンセリングや音質の性能面でも成熟しつつあるように見えるワイヤレスイヤホン。そこで、次なるトレンドとなりうる新たなキーワードを識者が大予測!
* * *
AV評論家の折原一也さんは、現在イヤホンの機能で特に注目しているのが音質やノイキャンの「パーソナライズ化」だと話す。
「ユーザーの耳の形状などを計測して、その人に最適な音響環境を作ってくれる機能。昨年発売されたAirPods(第3世代)に『アダプティブイコライゼーション』という機能が搭載され話題になりました。これは周囲の音の聞こえ方や密閉度などをリアルタイムで補正する技術です」
この技術が最新のAirPods Pro(第2世代)でさらに進化。
「サウンド、ノイキャン、空間オーディオまでも、装着状態に合わせてその都度最適化してくれるのが凄い」
パーソナライズ化に関しては各メーカーがさまざまなアプローチを行った製品を発売しており、今後の注目機能となる可能性が高そうだ。
一方、新たな音楽リスニングのスタイルを提案してくれるのが、空間オーディオだ。現在はアップルが主導する「空間オーディオ」とソニーの「360 Reality Audio」の2種類の規格がある。
「従来はステレオ音源で聞くのがスタンダードだったが、立体的な空間に向けて作られた臨場感あるサウンドが楽しめるようになったのが大きい。空間オーディオ自体は数年前からある機能なのですが、まだまだ対応する楽曲が少ないのが現状です」
楽曲が増えれば、自ずと空間オーディオ対応イヤホンも増える。そのポテンシャルは十分あると折原さんはにらんでいる。
「そして今年後半の登場が期待されているのが、Bluetoothの新コーデック『LC3』。ワイヤレスイヤホンの音質の底上げが図られるので、対応イヤホンが続々登場すると思いますよ」
着実に進化を続けるワイヤレスイヤホンに、今後も目が離せそうにない。
AV評論家 折原一也さん
PC系出版社の編集職を経て独立。オーディオ・ビジュアル専門誌やWeb媒体、商品情報誌などで、トレンド解説や商品レビューなど多彩な記事を執筆している。2009年よりVGP(ビジュアルグランプリ)の審査員も務める