名車が消えた2022年、電動スポーツマシンも登場する2023年【バイクゆく年くる年】

【生産終了モデル②】スズキ「GSX-R1000R」

スズキの「GSX-R」シリーズといえば、同社のスポーツマシンの代名詞的存在。そのフラッグシップである「GSX-R1000R」が姿を消すというのも、ショックの大きいニュースでした。このマシンが登場したのは2001年のこと(当初は「GSX-R1000」という車名)でしたが、1999年まで生産されていた「GSX-R1100」のイメージもあり、スズキの最速モデルが生産終了というのはさびしい限りです。

登場当初から、レースをターゲットとして開発され、実際にレースでも大活躍。一時期はこのクラスのスーパースポーツのベンチマークとなっていました。スズキは2022年限りでMotoGPや世界耐久選手権のレースからワークスチームを撤退させることを決定しています。その年に同社のレーシングイメージを牽引してきた「GSX-R1000R」が姿を消すのは仕方のないことなのかもしれませんが、残念です。後継モデルについての噂はありますが、現在のところ確実な情報はありません。

 

【生産終了モデル③】ホンダ「VFR800F」

昔からのバイクファンなら、ホンダのレーシングマシンといえば、V型エンジンというイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。実際に、WGP500クラスに4ストロークで参戦していた楕円ピストンの「NR500」から、AMAのスーパーバイク選手権、世界耐久選手権を制した「RVF750」など、ホンダはV型4気筒エンジンで輝かしい実績を残してきました。現在、MotoGPに参戦している「RC213V」もV4エンジンを搭載しています。

そのV型4気筒エンジンを、ホンダの市販車で唯一搭載していた「VFR800F」が生産を終了します。つまり、ホンダのラインナップにV4搭載モデルがなくなることに。2004年以降はレースのベース車もVFRシリーズからCBRシリーズへ移行しており、「VFR800F」はツーリングモデルという位置づけでしたが、限定発売された「VFR750R(RC30)」など過去のホンダV4マシンを知る世代にはさびしいニュースです。

 

【2023年期待のモデル①】ホンダ「CB750ホーネット」

ホンダのスポーツネイキッドの名称として知られた「ホーネット」の車名が復活します。それが、欧州で発表された「CB750ホーネット」。過去のホーネットシリーズは、250から900まで4気筒エンジンでしたが、この新型モデルは755ccの2気筒エンジンを搭載しています。また、カムシャフトはユニカムと呼ばれるOHCで、パワーよりも軽快さやバランスを重視した設計。最高出力は91.8PSとなっています。

クランクはトラクション性能に優れる270度とされており、実用回転域での扱いやすさを実現。そんなこともあって、このエンジンは同じく欧州で発表された「XL750トランザルプ」にも採用されています。こちらはオフロード性能にも優れたミドルクラスのアドベンチャーモデルで、人によってはこちらのほうが気になるところかもしれません。

 

【2023年期待のモデル②】スズキ「GSX-8S」

「CB750ホーネット」のライバルとなりそうなのが、スズキが発表した「GSX-8S」。これもネイキッドスタイルに個性的なフロントマスクを採用したマシンで、エンジンが2気筒という点も同じ。クランク角も270度です。排気量776ccで最高出力は83PS。見た目はアグレッシブなスタイルですが、大人が乗って楽しめるスポーツバイクに仕上がっていそうです。

もう1つ、同じエンジンを搭載したアドベンチャーモデルが用意されている点も「CB750ホーネット」と共通しています。「GSX-8S」とエンジンを共用するのは「Vストローム800DE」。アドベンチャー系の中でもオフロード性能を重視している点も似ています。メーカーが異なるのに、これだけ共通点が多いというのも面白いですが、それだけミドルクラスのスポーツネイキッド(ストリートファイターとも呼ばれます)やアドベンチャーマシンが支持されているということでしょう。

 

【2023年期待のモデル③】カワサキの電動バイク

これまで、国産の電動バイクといえばスクータータイプがほとんどでしたが、2023年はいよいよスポーツタイプのマシンが登場しそう。リリースするのはカワサキで、2022年11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMA2022」で2台の電動車両をお披露目しました。「Ninja」シリーズを思わせるフルカウルを装着したマシンと、「Z」シリーズのようなネイキッドタイプの2車種。どちらもEUのA1ライセンスに該当する車両区分とのことで、日本でいえば原付二種に当たるようです。

車体からの取り外しが可能なリムーバブルバッテリーバックを2個搭載し、バッテリー容量は最大3.0kWh。バッテリーパックの重量は約12kgとアナウンスされています。航続距離などの詳細なスペックは発表されていませんが、近距離コミューターとしての活用を想定しているとのこと。ただ、ニーグリップして走りを楽しめる電動マシンは国産ではほぼなかったので期待できます。2023年の発売を目指しているとのことで、時期や価格などは判明していませんが、期待して待ちたいところです。

 

<文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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