7月には「クラウン」のワールドプレミアが行われ、さまざまなボディタイプが発表されましたが、その先陣を切って9月に登場したのがクロスオーバーモデル。同月には日産の新型「エクストレイル」やメルセデス・ベンツの7人乗りSUV(EV)「EQB」も登場しました。
9月に入るとマツダが「CX-60」をリリース。さらに攻勢をかけていきます。
そして怒涛のラッシュとなったのが11月。スバルからは同社初となるコンパクトSUV「レックス」、レクサスからはフルモデルチェンジした「RX」、そしてフォルクスワーゲンからフル電動SUV「ID.4」がデビューしました。
このように、2022年はSUVに始まりSUVに終わるといった、王者が貫禄を見せつけた年となりました。ただ一方で、新たな潮流が生まれた年でもありました。
■軽自動車の商品力が大幅に向上
ちなみに「2022-2023 日本カー・オブ・イヤー」の受賞車はご存知でしょうか? 今年は43回の歴史の中で、初めて軽自動車である日産「サクラ」と三菱「eKクロス EV」がダブル受賞したのです。
両車は日産と三菱が共同開発したEVで、サクラには前走車への追突回避などをサポートする運転支援システム「360°セーフティアシスト」や、高速道路での渋滞時や巡航走行時にアクセルやブレーキ、ステアリング操作をアシストする「プロパイロット」などが設定されています。
軽自動車という規格は、もともとクルマの普及のために国が定めたガラパゴス規格で、一般的な乗用車に比べ装備面で格下感があるのは否めませんでした。しかし2021年11月に軽自動車も含め緊急自動ブレーキの搭載が義務化されたこともあってか、先進装備を中心とした装備面は一般乗用車と遜色のないものになっています。
ちなみにサクラは5月の発表から、わずか3週間で1万1000台以上受注。この背景にはガソリン価格の高騰などといった要因も大きいと思いますが、軽自動車の商品力が大幅に向上したということの表れかもしれません。
■“見えない魅力”にこだわったセレナ
もうひとつ取り上げたいのは、ファミリーカーの代表的存在である日産の「セレナ」です。クルマの良し悪しを判断する基準として挙げられるのは、燃費や馬力、荷室の広さといった数値や目で見えるものが一般的です。
しかしセレナが訴求したのは、静粛性や快適性といった目に見えないものでした。子どもが乗っても酔いにくい、家族が心おきなく会話を楽しめる(静粛性が高い)、見晴らしが良く開放感があるといった実際に乗ってみないと分からないような点を徹底的に追求し、商品化しています。
こういった目に見えない部分は魅力が伝わりにくいのですが、それでも訴求ポイントとしたのは、クルマの売り方としても新たな潮流ではないかと思います。