2. トライアンフ「スクランブラー900/1200」
スクランブラーテイストを取り入れたストリートモデルとして支持を得ているのがトライアンフ。900と1200という2車種が用意されていますが、両者の違いは排気量だけではありません。900ccの並列2気筒エンジンを搭載した「スクランブラー900」は、昨年まで「ストリート スクランブラー」と呼ばれていたモデルで、ストリート向けの味付け。アップタイプのマフラーを装備していますが、サスペンションストロークは120mmで舗装路での乗りやすさを重視しています。価格は134万9000円〜。
一方の「スクランブラー1200」は、ホイールトラベルが200mmの「XC」と250mmの「XE」の2種類をラインナップ。価格はそれぞれ192万1900円〜と、205万6400円〜となっています。どちらもフロントホイールはオフロード車と同じ21インチで、未舗装路でもかなりの走破性を誇ります。
どちらも試乗したことがありますが、「スクランブラー900」はアップマフラーの排気音が耳に届きやすく、ちょっとワイルドな気分で乗れるストリートモデルという印象。「スクランブラー1200」の「XE」は本格的な林道も走ってみましたが、まったくへこたれない走破性を持っていました。それでいて、舗装路でもかなりの俊足マシンなので、テイストだけでないスクランブラーに乗りたいならおすすめのモデルです。
3. ドゥカティ「スクランブラー 1100 トリビュート PRO」
クラシカルな雰囲気を現代の技術で作ったネオクラシックマシンとして、ドゥカティが用意しているのが「スクランブラー」シリーズ。スクランブラーの名を冠してはいますが、マフラーはダウンタイプのものが多かったり、決して未舗装路向けの設計ではありません。そんな中でもスクランブラーテイストを強く持っているのが、「スクランブラー 1100 トリビュート PRO」。2本出しのアップマフラーと、前18インチ、後17インチのスポークホイールを装備し、往年のスクランブラーを再現しています。
このマシンは同社の空冷2気筒マシンが登場してから50周年を記念してラインナップされたもので、1079ccのLツインエンジンを搭載。当然、空冷で同社得意のデスモドロミック機構を採用しています。見た目はクラシカルですが、バンク角に応じて効き方が制御されるコーナリングABSやトラクションコントロールなど電子制御は充実。大排気量の空冷2気筒ながら、扱いやすさが光ります。価格は179万7000円。
4. ロイヤルエンフィールド「スクラム411」
1901年にイギリスで創立され、現在はインドで生産を行っている歴史あるロイヤルエンフィールドが2022年に国内導入したのが「スクラム411」です。411ccの空冷単気筒エンジンを搭載し、フロント19インチ、リア17インチのスポークホイールを採用。マフラーこそアップタイプではありませんが、未舗装路の走行にも対応し、まさに現代版のスクランブラーと言っていい完成度です。
ベースとなったのは、同社のアドベンチャーマシンである「ヒマラヤ」。その名の通りヒマラヤの道で鍛えられたオフロード性能を持ち合わせたアドベンチャーモデルで、それを少し都市向けにリファインしたのが「スクラム411」という位置づけです。
オンロードマシンをオフロード向けにしたのではなく、オフロードマシンをオンロードに対応させたという、いわば逆バージョンのスクランブラーですが、軽快な走行性能が魅力。83万8200円〜という価格も魅力的です。
5. ファンティック「キャバレロ スクランブラー125/500」
イタリア生まれのファンティックが展開するスクランブラーモデルが「キャバレロ スクランブラー125/500」。どちらも水冷の単気筒エンジンを搭載し、125ccと500ccという排気量差はありますが、車体はほぼ共通となっています。ホイール径はフロント19、リア17インチでクラシカルな見た目ですが、オフロードマシンを得意とするブランドだけに走行性能は本格的。価格は125が92万円〜、500が116万円〜となっています。
車重は125が130kg、500が150kgとオフロードマシンと言っていい軽さで、41mm径の倒立フォークなど装備も本格的。オフロードで本格的に遊ぶことができる走破性を持っていますが、一方でタンデムもしやすいシートや、旅バイクとしても使える快適性も実現していて、オンロードもオフロードも本気で楽しみたいユーザーにおすすめです。
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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