【ガレージブランド名品図鑑】
マークと独特の削り加工で知られる“アシモクラフツ”。今でこそ当たり前となったギアカスタムを広めた同ブランドの魅力は、緻密な計算が生む使い心地のよさ。たとえ見た目をまねしても、この質感は唯一無二!
Asimocrafts
「火と向き合う時、あったらいいながここにある。」をコンセプトに2014年ブランド創設。高いオリジナル性で瞬く間に評判となった。メジャーブランドの定番ギアを自分流にカスタムする新たな楽しみ方を広めた立役者でもある
Asimocrafts デザイナー 守野浩之さん
キャンプ歴約20年。当初はDIYブログを参考にしていたが、そのうち“こんなものがあったら便利で楽しそう”とオリジナルギアを作るように。ソロキャンプで使ったり仲間のために作っているうちに評判となり、アシモクラフツを創設
■その質感は唯一無二
「キャンプをはじめたころは直火を楽しんでいました。ケトルを置く五徳があると便利だな、小物を置くテーブルがほしいなと作ったのが『Zテーブル』の原型。当時はスノコみたいなテーブルが多かったので、それと五徳を組み合わせたというわけ。どうせならとマットとサイズをあわせ、持ち運びやすいようにしました。2作目は『asi_circle』。地面を掘って底に薪を入れていたんですが、深さが足りないこともあるのでそれを補うためにね」
子どもと遊ぶためにはじめたキャンプだが、火と向き合う楽しさに魅了された守野さんはひとりでもキャンプ場へ。そのうち、こんな物があったら便利だな、楽しいな、という想いで道具を作りはじめた。これがアシモクラフツの原点だ。
そうこうするうちに時流は直火禁止に。守野さんも石を煤で汚さず、気兼ねなく焚き火をしたいと考えていた頃なので焚き火台を手がけるようになった。それが「takibi_no_asi」だ。
アイデアの根底にあったのはスノーピークの「焚火台」。この形状が最強だと考えた守野さんは、すり鉢状を踏襲しつつ、枚数によってソロでもファミリーでも対応するプレート組み立て型を選択。そして迷わず組み立てられるよう計算して同デザインにしたという。
アシモクラフツの製品開発に不可欠なのはいろいろなキャンプ道具を使ってきた守野さんの経験と他社への尊敬。そのうえで“こうすればもっとよくなる”を素早く見抜く守野さんの目が武器となり、誕生した製品はどれもオリジナル性が極めて高く、SNSを通じて瞬く間に評判となった。
そんな同社最大の功績は“カスタム”という新しい楽しみ方を広めたことだろう。DIYが苦手でも自己主張できる「グリップ」シリーズはキャンパーに大きな衝撃を与えた。
「グリップ」は、守野さんが友人から修理してほしいと預かった薪バサミに遊び心でハンドルに施したサプライズ加工が発端。
「当時、自分でも作りたいと思っていた火ふき棒とともにプレゼントしたんです。どうなっていたら喜んでくれるかなと考えながら加工しました」
手に馴染むよう断面は八角形。感触にこだわったそのデザインは、削り跡の曲線や深さまで緻密に計算されている。
「外部の職人にも制作をお願いしているんですが、完全に再現してくれるまでに時間がかかるのが悩み。パッと見はわからないと思うのですが、この差こそがアシモクラフツです」
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