■1.長い歴史を持ちつつ“今っぽさ”を封じ込めている1本
SEIKO 5 SPORTS
「SKX Street Style SBSA129」
3万1900円
2023年に55周年を迎えた「セイコー 5スポーツ」は、カジュアルなスポーツウオッチとして人気を集めてきたが、今もそのスタイルは健在。
こなれた価格帯だが自動巻き式の機械式ムーブメントを搭載し、統一感のあるデザインの中に、ストリートカルチャーやコラボレーションなどの個性を加えることで、さまざまなモデルをリリースしている。
この「SBSA129」は、ストリートカルチャーを投影したモデルで、スケートパークやグラフィティなどと密接に関係する“セメント”がデザインコンセプト。
ダイヤルは荒々しい質感を表現し、ナイロンストラップも同系色のグレー。ボリューム感のあるタフなケースや手首への不快な干渉を軽減させる4時位置リューズなども特徴で、アクティブに動ける時計となっている。
サイズ:直径40mm×厚さ11.5mm
■2.高性能ウオッチを“5万円以下”で実現する驚異のハイコスパ時計
CITIZEN PROMASTER
「MARINEシリーズ メカニカルダイバー200m NY0125-08W」
4万9500円
男性用腕時計の多くは、特定の使用目的のために生まれた“道具”である。中でも有名なのが、潜水士のための時計であるダイバーズウオッチ。
潜水経過時間を計測するための計器であるため、故障は絶対に許されない。当然ながら堅牢なケースと高精度のムーブメントを求められるので、価格帯は比較的高めになるのは常識だった。
しかしシチズンはその常識を打ち破った。「プロマスター」から登場したこのモデルは、“200m潜水用防水”の防水性能を備えており、しかも自動巻き式の機械式ムーブメントを搭載。
シンプルかつ視認性に優れたダイヤルはダイバーズウオッチの王道ながら、ケースにはブラウン色のメッキを施してファッション的な魅力も加えている。信頼のおける道具を洒脱に楽しめるのに、この価格帯というのは驚きしかない。
サイズ:直径41mm×厚さ13.7mm
■3.日本が世界に誇るモダンウオッチ
SEIKO PRESAGE
「Style60’s SARY193」
6万500円
日本らしい時計作りの感性を表現する「セイコー プレザージュ」。シンプルながら誰にでも愛されるデザインをもち、しかもすべてセイコー製の機械式ムーブメントを搭載するという本格派で、近年は海外からの注目も高まっている。
琺瑯や有田焼といった伝統工芸技術を用いたモデルが有名だが、こなれた価格帯のベーシックモデルにも注目だ。
この「SARY193」は、セイコーが数々の注目作をリリースしていた60年代のスタイルを取り入れたもの。
キレのあるドーフィン型の針やキラッと輝くバーインデックス、スポーティな雰囲気をつくる太目のベゼルなど、すべてがバランスよくまとまっている。クリーム色のダイヤルにゴールドの針×インデックスを合わせて、華やかに仕上げている。
サイズ:直径40.8mm×厚さ12mm
■4.腕元をポップに彩るメカニカルウオッチ
CITIZEN COLLECTION
「メカニカル NJ0151-88M」
6万3800円
ここ数年の高級時計は、カラーダイヤルが人気を集めている。しかも色のトーンはどんどん明るくなっており、腕元をポップに遊ぶスタイルが定着しつつある。
コンサバ派が多い日本ブランドでは、こういったポップカラーのダイヤルはまだまだ珍しいが、「シチズン コレクション」にこんなポップなカラーリングの時計があると知って驚いた。
「NJ0151-88M」は、鮮やかなパステルブルーを取り入れたモデル。この色はスイスの人気ブランドがこぞって取り入れているので、視線を引き寄せる効果はかなり高いだろう。
しかもケースとブレスレットが繋がるようにデザインされ、そのフォルムを際立たせるようにリューズを4時位置に埋め込むようにセット。色だけではない個性がある上に、シールーバック式なのでムーブメントの鑑賞も可能となっている。
サイズ:直径40mm×厚さ11.7mm
■5.いつまでも廃れることのないスタイルがある
ORIENT STAR
「クラシック エレガント RK-AU0002S」
8万1400円
日本の時計産業は、スイスなどヨーロッパの伝統的な時計文化を意識しながら発展してきた。
“輝ける星”をイメージした「オリエントスター」もまた、スイス時計への深い敬意を持ちつつ、日本の時計の理想形を追求しながら技術やデザインを高めており、今では日本を代表す高級機械式時計ブランドとなった。
「クラシック」コレクションは、よい時計とはこういうものであるというデザインを表現したものであり、そこには普遍的な美しさがある。
インデックスはローマン数字で針はブレゲ針、ダイヤルにはギヨシェ風の凹凸仕上げを入れ、12時位置にはパワーリザーブ表示を備える。時計デザインのアイコニックな表現を巧みに取り入れることで、いつまでも愛し抜けるクラシックウオッチとなるのだ。
サイズ:直径38.7mm×厚さ12.8mm
>> ORIENT STAR
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海外のジャーナリストと話をすると、日本の時計ブランドへの興味の高まりを感じる。そもそも品質も技術も高い上に、日本文化のファンも多く国家ブランド指数も高いのだから当然であろう。
しかもメンテナンスを日本国内で行えるので、長くつき合っていくことを考えるなら日本の時計を選ばない理由は見当たらない。そういった状況に、今回のインフレ&為替という社会的状況が加わったことで、国産時計への追い風はさらに強まった。それはこの「アンダー10万円の機械式時計」という枠組みにおいては、特に顕著といえるだろう。
<文/篠田哲生>
篠田哲生|男性誌の編集者を経て独立。コンプリケーションウォッチからカジュアルモデルまで、多彩なジャンルに造詣が深く、専門誌からファッション誌まで幅広い媒体で執筆。時計学校を修了した実践派でもあり、時計関連の講演も行う。
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