さて、それだけの台数となると、気になるのは防犯対策。すべての公衆電話でテレホンカード利用可能となったのは1995年3月ですが、そこで問題となるのが一時期大量に出回った偽造品のテレホンカード。もちろんその対策も立ててきましたよ!
こちらが2005(平成17)年に登場した最新型の公衆電話「ディジタル公衆電話機(4版)(DMC-8)」。
「従来のディジタル公衆電話機に比べ、小型化低廉化するとともに変造テレホンカード対策としてカードユニットのハイセキュリティ化を図った電話機です」(小野塚さん)
これ以降は新しい公衆電話は出ていないそうですが、この最新型が果たしたのは、セキュリティアップ&コストダウンだけではありません。すべての人が使いやすいユニバーサルデザインになっているのです!
「薄暗い所でもくっきり見えるパネルを採用し、文字と絵の併用によるわかりやすい液晶表示になっています。音量ボタンでは、5段階で音の大きさを調整できます。カード挿入口・返却口とコイン投入口には凹凸があり、触ってわかりやすく、入れやすくなっています。ダイヤルボタンも以前の機種より約1.4倍にサイズアップしてありますし、6と9の文字誤認識防止のため違う形にして判読性をアップしてあります」(小野塚さん)
さて、そんな公衆電話ですが、現在では数は減っています。残すものに基準はあるのでしょうか?
「『第一種公衆電話』については、現在は全国に約10万8000台を設置してあり、引き続きその台数を継続して設置する予定です。これは災害時などの緊急通信手段、戸外における最低限の通信手段確保のための設置を目的としたもので、市街地では概ね500m四方、その他の区域では概ね1km四方を設置対象エリアとして、法令に基づいた設置基準で設置しています」(小野塚さん)
そのほかにも、高頻度の利用が見込まれる場所には設置されているそう。実に100年以上の歴史を持つ公衆電話は、今もいざという時のため、人々の生活を静かに見守っているのですね。
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(取材・文/明知真理子)
あけちまりこ/ライター
編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。雑誌・ウェブ等で幅広く活躍し、寝る間もないほど売れっ子(になりたいと思っている)。趣味で株式投資をしており、日経平均が下がると表情がやや曇ります。映画と旅行とプロレスが好き。