日本に誕生した「ルート66」のアメリカンダイナー【狭小秘密基地拝見!】

【狭小秘密基地拝見!】

千葉県木更津市に存在するアメリカ、それが石川 泰さんが建てた秘密基地だ。ハーレーをきっかけにアメリカンカルチャーにどっぷりハマった男のガレージ&カフェは、狭小とは言えないがこだわりに溢れていた。

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石川泰さん
2019年に千葉県木更津市内にカフェ「ARIZONA ROUTE66」を開業。同店のマス UTE66」を開業。同店のマスターとしてコーヒーの焙煎や調理も手がけるかたわら、「White Horse Dental Office」で歯科医師としての顔を持つ。アメリカでルート66を走破した経験もある

 

都内からアクアライン経由で約60km、買い物客で賑わうアウトレットを尻目に木更津市内の住宅街をしばらく走ると、ルート66の看板とともに1軒のガレージ付きのカフェが現れる。まるで周辺のアスファルトから切り離されたかのように、敷地内はアリゾナの大地を彷彿とさせる乾いた砂利が広がってサボテンが点在している。

カフェ店主の石川泰さんが木更津市内に土地を購入したのは、いまから7年前のこと。都内の自宅から程よく離れた場所に、複数のクルマとバイクを保管できるガレージを立てようと土地を探していたのだという。

そして同時に長年憧れていたカフェ経営も始めたいと、店舗も併設することに。ハーレーに乗り始めたことをきっかけにアメリカンカルチャーにハマり、ルート66を走破した経験を持つ石川さん。目指したのはもちろんルート66沿いに佇むアメリカンダイナーのような空間だ。

▲ジレラの三輪スクーター・フォコ(中央のバイク)は、同ブランドの創業100周年記念の特別モデル。「将来ハーレーに乗れなくなったらこっちに乗る予定です」。そして45歳のときにリターンライダーとして購入した1999年式ハーレー・ローライダー(手前のバイク)。石川さんがルート66にハマるきっかけとなった思い出深い1台だ

「店舗にもガレージにも譲れないこだわりがありすぎて、途中でメーカーを変えたりと完成までに一年半を要しました。でも苦労の甲斐あって外観も内装も自分の理想を形にすることができたんです」

アメリカ・リフトマスター社のオーバースライダーを開けると、石川さんと同じ年生まれの1955年式のシボレー3200と1966年式の日産・プリンス スカイラインGT-A、そしてハーレーのバイクとイタリアンスクーターがずらりと顔を並べている。

「このスカイラインは親父が40年乗ってきたものを受け継ぎました。シボレーは3年ほど前に縁あって購入して以来、うちのカフェのアイコン的な存在です。この2台は古いこともあって故障も多いので、普段の移動はフォード・マスタング(2015年式)がメインです」

▲父が40年間大切に乗っていたというスカイラインGT-Aは、購入当時の希少なナンバープレートをあえてそのまま引き継いでいる

▲お客さんの紹介がきっかけで購入したシボレー3200は、すっかりお店のアイコン的存在に。たまに故障はするものの、今でも現役で走行する

内装にはルート66の標識を冠したタペストリーやブリキの看板があちこちにディスプレイされている。これらの雑貨の数々は、石川さんが実際にルート66のロードトリップの道中で買い求めてきたものだ。

「ルート66にまつわるものは、つい反射的に買ってしまって。そのうちカフェのお客さまが『これマスターのガレージに似合うんじゃない?』なんていろいろ雑貨を持ち込んでくれるように。おかげさまで飾る場所がだいぶ限られてきました(笑)」

常連客とカフェマスターがクルマとバイク談義に耽るガレージ。そこはまるでこだわりの自家焙煎コーヒーのように、味わい深い大人の秘密基地なのだ。

▲ルート66の標識はガレージのあちこちにディスプレイされている。またお気に入りのヘルメットには「ROUTE66」のペイントを施したものも

▲棚には大量のミニカーをディスプレイ。ハーレーのバイクのほか、ベスパやPTクルーザーなどかつて所有していた愛車の思い出が垣間見える

 

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