【遊べるバイク大特集】
来年、原付二種(50超~125cc以下)のバイクが、いわゆるクルマの免許で乗れるという話が巷で話題になっている。これが本当ならビッグニュースだが、モータージャーナリストの青木タカオさんによると、うまい話の裏にはしっかりカラクリがあるようだ。
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実用性や機動性の高さから昨今人気の原付二種クラス。これが来年、原付一種免許で乗れるようになるという話が出ているが、現在販売されている125ccのバイクに乗れる、と勘違いしている人も少なくないようだ。
警察庁が二輪車車両区分見直しに関する報告書を2023年12月に発表し、そこで登場したのが「新基準原付」。最高出力を4kW(5.4PS)以下に制御した排気量125cc以下のバイクを「新基準原付」として、原付一種と同じ車両/免許区分とする方針を示した。
ざっくり言うと、排気量は125ccながら発揮するパワーは50ccに相当。道路交通法上の扱いは原付一種のままで制限速度30km/h、ふたり乗りはできないし、二段階右折もしなければならない。
この方針の背景には、国内向けに50ccモデルを販売するメーカーのコスト負担を軽減する目的がある。25年11月以降に排ガス規制が強化されるため、現在のエンジン性能のままでは新たな生産ができなくなる。かと言って規制に適合する新型の開発は技術的に難しい上、コストもかかってしまう。新たな投資をしてもなかなか採算が取れないというのが実状だ。
とは言え原付一種は現在でも430万台余りが保有されており、日常生活の足代わりやビジネス用途で使用されている関係上、原付一種をなくしてしまうことは絶対にできない。そんな背景があり、先の「新基準原付」が登場したのだ。
というわけで、来年まで待ったからといって、原付一種免許で現在販売されている125ccに乗れるようにはならない。
「新基準原付」として発売される機種などの詳細は現時点では未発表。つまり既存の原付二種クラスにすぐに大きな変更が生じる見込みはまだない。買うなら豊富なラインナップが揃っている今がチャンスだ!
モータージャーナリスト 青木タカオさん
バイク好きが高じて専門誌の編集部員となり、その後独立。初心者にも分かりやすい解説に定評があり、専門誌や一般誌、Web媒体などにも寄稿。YouTubeチャンネル「バイクライター青木タカオ【~取材現場から」も人気
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