■ポイント1:「アウターのサイズ選びに迷ったら、大きすぎない“ワンサイズUP”くらいで」
主役の「ダブルフェイスシャツジャケット」は、軽く柔らかで体のラインに馴染みやすい。サイズアップした際の肩の落ち具合も絶妙だ。オンブレチェック柄の落ち着いた雰囲気も、大人の装いに最適と言える。
「実は柄ものを選ぶのもコツです。特にオンブレチェック柄のように、体のラインをうまく隠せる柄を選ぶことで、オーバーサイズの難点である“着せられている感”も軽減できます」(井上さん)
色柄の視覚効果を活かしつつも、肩幅と身幅のバランスを意識することが肝要。肩幅は上腕二頭筋にかかるくらいがベストだ。身幅は大きすぎると着用時にシルエットが膨らむため、こちらもほどほどに。
■ポイント2:「パンツの裾は引きずらず、ワンクッションまでがベター」
パンツをオーバーサイズにした際に悩むのが、裾のあしらい。最近の若い世代はあえて長めにする傾向があるが、大人がズルズルと引きずるのは、少々見栄えが良くない。裾丈はワンクッションかノークッションを守るのが無難だ。
ウエストにワンタックが入ったワイドシルエットが特徴の「タックワイドパンツ」。ジャストで穿いても程よいオーバーサイズシルエットが楽しめる1本だ。短丈やジャスト丈のトップスとの相性の良さは、まさに特筆すべきポイントである。
「着用したパンツがほどよくワイドだったので、シルエットを崩さないようノークッションにしています。もちろん、パンツの素材や合わせるシューズ次第で変わるため、その辺は臨機応変に楽しんでください」(井上さん)
ウールなど素材が厚めの場合は、ワンクッションさせて足元にボリュームを持たせるのもアリだ。また、今回のコーデのようにトップスをコンパクトにすることでAラインシルエットが生まれ、スタイルアップ効果も見込める。ちなみに、ユニクロには「通常丈」と「丈長め」が用意されたモデルもあり、積極的に活用したい。
■ポイント3:「トップスはジャスト×パンツはワイドが好バランス」
次に、全体のシルエットについて考えてみよう。オーバーサイズを取り入れる際の最近のトレンドは、「トップスはジャスト×パンツはワイド」だ。ポイント2でも言及したAラインシルエットが簡単に作れるため、初心者にもうってつけ。
上品で柔らかな風合いの「スフレヤーンハーフジップセーター」はジャストサイズで着用し、定番の「ワイドフィットチノ」はオーバーサイズを選択。
上下のシルエットの違いが生み出す視覚効果により、小顔かつスタイル良く見せている。
「サイドから見ると上下のバランス感も顕著です。オーバーサイズながら非常に収まりが良いですよね。写真のようにパンツが裾に向かって細くなるテーパードシルエットだと、さらに効果的です」(井上さん)
裾丈はワンクッションに設定。パンツにボリュームがあるので、生地が裾に溜まってもだらしなく見える心配はない。アウターを羽織る際も、トップス同様にコンパクトなデザインのものをジャストサイズで着るのがおすすめだ。
■ポイント4:「凝ったデザインはなるべく避けて、シンプルに徹する」
オーバーサイズが上手に取り入れられない。その要因のひとつに“デザイン”がある。凝ったデザインのアイテムは難易度が高く、着こなす際にもセンスと技が求められる。シンプルで定番的なアイテムを選ぶことで、ハードルはグッと下がるのだ。
そこで、定番のナイロンブルゾン×ジーンズはいかがだろう。機能性に優れた「ウィンドプルーフスタンドブルゾン」と軽やかな「ワイドストレートジーンズ」。
色数を抑えることで、オーバーサイズでもすっきりとしたモダンな佇まいに。
「ただそれだけでは洒脱さが足りないので、インナーにジーンズと同色のタートルネックを合わせて品良く仕上げました。上下を同色でつなげることで、腰位置を誤魔化し、スタイル良く見せることもできます」(井上さん)
ポイントは色選び。真っ白だとアクティブ感が際立ってしまうが、今回はこなれた雰囲気のオフホワイトを採用。余計なロゴがなく、シンプルなデザインで使いやすく好印象だ。カラーに迷ったら中間色を選ぶと良いだろう。
■ポイント5:「クリーンさを意識して、キレイめアイテムをどこかに入れる」
オーバーサイズのトップスはカジュアルな印象になりがちで、言い換えれば子どもっぽく見えてしまう場合もある。そこで、大人っぽくキレイめなパンツを合わせてカジュアルさを中和してみよう。シンプルな方法だが、効果は絶大だ。
「ダブルフェイスシャツジャケット」と「スウェットオーバーサイズプルパーカ」を重ねて防寒性を高めるも、装い自体はカジュアルだ。ここに、「タックワイドパンツ/チドリ」を合わせるだけで、シックな雰囲気に向かう。
「気付きづらいですが、実は細かな千鳥格子柄です。ワンタック入りのワイドシルエットがリラックスした穿き心地を実現し、上品な柄使いがカジュアルなオーバーサイズコーデを大人っぽくクリーンに見せてくれます」(井上さん)
異なるテイスト同士を組み合わせることで、シンプルな着こなしもワンランク上のものに仕上がる。これはぜひ覚えて実践したいテクニックだ。千鳥格子柄のほか、無骨な雰囲気を持つヘリンボーン柄もあるため、どちらも確実に押さえておきたい。
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さて、大人がオーバーサイズコーデを制するために必要な“だらしないとオシャレの境界線”を、5つのポイントとともに探ってみたが、参考になっただろうか。
本稿の冒頭でも述べたように、オーバーサイズは体型隠しにも便利で、今さらスタイルを変えるのは中々難しい話だ。しかし、逆に考えれば、大人ならではの着こなし方を身につけてしまえば差を付けられるということ。この5つのポイントを意識するだけで、コーデの完成度も確実にアップするはずだ。
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執筆者/TOMMY|メンズファッション誌を中心に、ファッションやアイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する。Twitter
<取材・文/TOMMY スタイリング/井上裕介 写真/田中利幸 取材協力/UNIQLO>
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