【2024年人気アイテム総まとめ】
2020年頃から盛り上がっているバイクブームですが、その流れは2024年も継続。一時期のような新車生産の滞りや、それに伴う中古車の高騰なども落ち着き、購入しやすい状況となっています。そんな今年のバイク業界を振り返り、注目されたモデルをピックアップしてみました。
■トレンドとなった自動変速技術
2024年の新型車を振り返ると、クラッチや変速の操作を自動化したマシンが目立ちました。ホンダは「Eクラッチ」という発進から走行中までライダーがクラッチレバーを握らないで済む技術を投入。ヤマハも変速を完全に自動化した「Y-AMT」を導入しました。輸入ブランドでもBMWが「オートメイテッド・シフト・アシスタント(ASA)」と呼ぶ自動変速機構を採用。KTMも「KTM AMT」を発表し、今後同社のアドベンチャーマシンに搭載するとしています。
各社ともタイミングを合わせたかのように2024年に自動クラッチ・変速技術を導入していますが、技術にはそれぞれ特徴があります。まずホンダですが、「Eクラッチ」はあくまでもクラッチの自動化技術なので変速操作はライダーが行う必要があります。同社には既に「DCT」という自動変速機構があり市民権も得ていますが、「Eクラッチ」はどちらかというと「DCT」よりもクイックシフターに近い技術といえるでしょう。
ヤマハの「Y-AMT」はクラッチレバーもシフトレバーもなくなり、完全に変速をマシンに任せられるシステム。ライダーの好きなタイミングで変速することもできますが、変速操作は左手側に設けられたボタンで行います。
BMWの「ASA」も変速を任せられるシステムですが、左足のシフトレバーは残されていて、ライダーが任意のタイミングでシフト操作できます。「KTM AMT」も同様に左側のシフトレバーは残していて、プロトタイプではボッシュの開発した「ACCストップ&ゴー」と組み合わせていました。
続いては、各社の搭載モデルやその操作感、それ以外の注目モデルを紹介します。
1. “Eクラッチ”を搭載した「CBR650R」「CB650R」
初の“Eクラッチ”搭載車となったのが6月発売の「CBR650R」と「CB650R」です。どちらもエンジンはホンダらしい4気筒を搭載したモデルで、2024年モデルではフロントまわりを中心に外観がブラッシュアップされるとともに、“Eクラッチ”搭載モデルも選べるようになりました。ちなみに前述のように左手側にはクラッチレバーを装備していて、大型AT免許で運転することはできません。
実際に乗ってみると、発進や停止時にクラッチを握らなくていいのはかなり快適。クイックシフター付きのマシンに乗っていると、走行時にはクラッチを握らない分、停止時にクラッチを握るのが面倒に感じることがありますが、そのストレスが取り除かれている感じです。それでいて、走行中のシフト操作は完全にクイックシフターと同じなので、操作する楽しさは味わえます。
2. スポーツライディングに集中できる「MT-09 Y-AMT」
“Y-AMT”が最初に搭載されたのはヤマハのスポーツネイキッド「MT-09」。3気筒エンジンが生み出す爆発的なダッシュ力が持ち味のモデルです。ツーリングモデルではなく、スポーティなモデルから採用されたところからも、この機構が“楽をする”ためではなくライディングにより集中するためのものだということを表しています。
“Y-AMT”には2つのモードがあり、ATモードを選べば変速は自動化されるのでライダーはアクセルやブレーキ、荷重移動などの操作に集中できます。MTモードを選んだ場合は、変速したいタイミングに合わせて左手側のボタンで変速操作をすることに。筆者は試乗した際に、クラッチレバーがなくなった左手側にリアブレーキを持ってきてほしいと感じましたが、そうしなかったのは左手での操作を増やしたくないという理由があるようです。
兄弟モデルである2気筒の「MT-07」にも“Y-AMT”搭載モデルが追加されることがアナウンスされていて、ツーリングモデルの「トレーサー9 GT+」にも採用されることが発表されました。
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