“円安時代”の腕時計の選び方とは。プロが見極める「アンダー30万円」の良質時計5選

【2024年人気アイテム総まとめ】

「時計が高い!」2024年は、こんな嘆きが多く聞かれる一年だった。原材料費や人件費の高騰に加え、円安とスイスフラン高が重なり、日本におけるスイス時計の価格が急上昇したことが背景にある。約10年前、スイス国立銀行は市場介入を行い、1スイスフランが100円を超えることはなかったが、その政策が終了して以降、スイスフラン高が止まらず、現在では1スイスフランが約170円に達している。この状況では、スイス時計の価格上昇も避けられない。

そんな中、ミドルレンジ価格帯の時計がさらに注目を集めそうだ。ここでいう“ミドルレンジ”とは、全体の価格底上げを反映し、10万円から30万円の範囲を指す。この価格帯であれば、納得のクオリティと語れるストーリーを持つ時計に出会える可能性が高く、十分な満足感を得られるだろう。

注目されるのは、為替の影響を受けにくい国産ブランドだが、スイスのブランドにも、ミドルレンジを意識して優れた時計を生み出しているものが少なくない。気骨のあるブランドがこの価格帯で提供する時計には、コスト以上の価値を感じられるものが多い。

時計の価値は、単なる価格では語れない。しかし、手頃な価格で質の高い時計を見つけたとき、自分のセンスが評価されたような気持ちになれるものだ。時計高騰の時代だからこそ“光る”ミドルレンジの秀作時計を探し出し、自分だけの逸品を手に入れてほしい。

1. 時代を超えた洗練美。“東京モダン”を宿すキングセイコーの新たな姿

キングセイコー
「SDKS029」24万2000円

▲キャリバー6R51 メカニカル 自動巻(手巻つき)、+25秒~-15秒、ステンレスケース、ケース径36.1mm、厚さ11.6mm、日常生活用強化防水(10気圧)、パワーリザーブ約72時間(最大巻上時)

1960年代に第二精工舎・亀戸工場で製造されていた「キングセイコー」。その中でも傑作とされる“KSK”モデルを、現代的にデザインしたのが本モデルである。シャープな平面を組み合わせた稜線は、亀戸工場が得意としたレディースウオッチの繊細なデザインを彷彿とさせるものであり、後のグランドセイコーのデザインにも多大な影響を与えたと推測される。

切れ味のある針のデザインは、視認性の高さとモダンな雰囲気を両立させており、クラシックな王道ウオッチとしての風格を漂わせる。

ニュアンス豊かなアイビーグリーンのダイヤルは、控えめながらも印象的な存在感を放つ。ムーブメントには自社製のCal.6R51を搭載し、約72時間のパワーリザーブを実現。

さらに、ケース径は36.1mmと小ぶりで、さまざまなファッションスタイルに馴染む点も魅力的だ。

>> キングセイコー

2. 本格スペック×都会的デザイン。「SBDC203」が描く新たなダイバーズ像

セイコー プロスペックス
「SBDC203」17万6000円

▲キャリバー6R55 メカニカル 自動巻(手巻つき)、日差+25秒〜−15秒、ステンレスケース、ケース径41.3mm、厚さ12.5mm、300m空気潜水用防水、パワーリザーブ約72時間(最大巻上時)

国産ダイバーズの象徴であるセイコー。その伝統を継ぐ「プロスペックス」は、ツールウオッチとしての機能美を追求し、多くの支持を集めている。一方で、ダイビングコンピューターの進化に伴い、ダイバーズウオッチはライフスタイルに寄り添うタフウオッチへと新たな価値を確立している。

本モデルは、空気潜水用防水300mという本格的なスペックを備えつつ、ケースの磨き上げやベゼル、ダイヤルのデザインに細部までこだわりぬいた一本。そのため、水中での使用はもちろん、ビーチサイドのカフェや都会的なビジネスシーンにも映えるデザインが特徴となっている。

ムーブメントには、自社製のCal.6R55を搭載し、約72時間のロングパワーリザーブを実現。実用性とデザイン性を両立させた一本として、さまざまな場面で活躍すること間違いなしだ。

>> セイコー プロスペックス

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