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生成AIが一般化し、ユーザーがスマホやPCといった“エッジデバイス”で、AIに触れる機会も増えた。しかし、個別のツールへの理解は進む一方で、AIの全体像は霞みがちではないだろうか。一度立ち止まり、その世界観を俯瞰してみよう。
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ひと言で「AI」と括っても、実はその実態はさまざまだ。旧来のAI(識別系AI)は、学習した内容から適切な回答として決められた出力パターンを選択するものだった。一方、昨今トレンドになっている「生成AI」は、AIモデルが学習を重ねた内容をもとに、画像やテキストなどのオリジナルのコンテンツを出力する。象徴的な事例としては、22年8月に「Midjourney(ミッドジャーニー)」が登場し、AIによる画像生成への関心が一気に高まったこと。22年末から23年にかけてOpenAIによる「ChatGPT(チャットジーピーティー)」が流行し、大規模言語モデルを活用した自然言語処理が一般ユーザーが扱えるツールとして落とし込まれ、定着が進んだことなどが記憶に新しい。
さらに、こうした生成AIは、画像、音声、テキストなど異なる情報を関連させて一気に処理できる「マルチモーダルAI」の段階へとすでに進化を遂げている。
ただし、こうした生成AIの現状の仕組みとしては、大量のデータを元に、統計学的に正しいと思える処理をしているに過ぎない。予期せぬ状況や曖昧な指示に対しては対応できないワケだ。人のような自意識や高度な意思決定があるわけではなく、AI開発の文脈では「弱いAI」と括られることがある。
ITライター 井上 晃
スマートフォンやスマートウォッチ、タブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスなど取材。Webメディアや雑誌に、記事を寄稿する。普段使いの生成AIは有料の「ChatGPT Plus」
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