そのため、現在に至るまで、ロードバイクやMTBなどのスポーツバイクは、前三角(まえさんかく)」と「後ろ三角(うしろさんかく)」を組み合わせたこの型が基本になっています(MTBのリアサス付きのバイクは少し違っていますが、ここでは省略します)。
このUCIのルールが適応されない競技、たとえばトライアスロン用の自転車は、かなり自由な形状をしています。フレームに修理キットや補給食などを入れるストレージが搭載されているものもあります。
ここまでの説明を読んで、「じゃあ同じ形なのに価格が違うのはなぜ?」と思う人もいるでしょう。その理由のひとつは、フレーム素材の違いにあります。最近のスポーツバイクはクロモリ、アルミ、カーボン、チタンを使用したものが中心になっています。
クロモリというのはクロムモリブデン鋼、鉄にクロムとモリブデンを添加した素材です。細身のパイプを組み合わせているためシンプルで、今はどちらかといえば、クラシックなスタイルの自転車に使用されています。粘り強い素材の特性があるので「しなり」があり、そのしなりが独特の乗り味をもたらします。
アルミはクロモリよりも軽く高い剛性を持ち、ひと昔前まではスポーツバイクの主流だった素材です。多くの自転車に使用されていて、カーボンよりも価格的には安価な傾向にあります。「ひと昔前の素材」と書きましたが、今は技術が進んでいて、フレームの部位によって肉厚を変えることで、カーボンに匹敵する性能をもつフレームも登場しています。
カーボンフレームは、現在の主流の素材。振動吸収性、剛性、軽さのすべてが揃っています。今や総重量7㎏を切るものも珍しくありません。パーフェクトな素材のように思えますが、実はもろさもあります。カーボン繊維をプラスチックで固めているため経年劣化があり、また落車でフレームが割れることも。とはいえ、適切な使い方をすれば問題ありませんのでご安心を。
自動車や飛行機の部品にも使用されるチタンを使用した自転車もあります。ご存知のように軽量でさびにくく剛性も高い素材ですが、加工がしにくいため製作には特殊技術が必要で、比較的高価なものが多くなります。乗り味は独特のしなりとバネ感が特徴。ロングライドにも最適な素材です。
同じような形状でも素材の違いによって、価格や性能に大きな違いがあります。全国の色々な場所で試乗会が開催されていますので、素材の違いが乗り味にどんな違いが出るかを確かめて、自分に合ったものを探したいですね。
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(取材・文/今 雄飛)
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