【ケース1】
「おはようございます。あれ、今日はスカートなんだね」これってGood? or Bad?
Bad!
(ただし、相手との関係性などによって、必ずしも100%Bad! というわけではありません)
明るい笑顔で「おはようございます」。これは言うまでもなくGood! です。
ただ、その後の「今日はスカートなんだね」は、良かれ、と思って発している言葉でも、余計なひとことに感じる方もいます。
女性社員に対して「髪切った?」とか「痩せた?」というのも同様。
同期や、気心の知れた間柄ならOKの場合もありますが、ことビジネスシーンにおいては、見た目に関する発言は避けるのが無難です。
それより、さわやかな良い表情で、にこやかに「おはようございます」とあいさつできれば十分。このとき、目をそらしてのあいさつは失礼になるので、しっかり相手の目を見て行うこと。また、あいさつは「先手必笑」。上司でも同僚でも後輩でも、自分から先に、を心がけましょう。そうすることで、好印象が得られます。
【ケース2】
あいさつをしようと思ったが、上司が忙しそう。そんなときは仕事の邪魔をしないよう、あいさつを割愛。これって Good? or Bad?
Bad!
(ただし、状況などによっては、必ずしも100%Bad! というわけではありません)
上司を慮っての行動だと思いますが、出社、退社時のあいさつを省くのはBad! です。たとえ相手に無視されても、自分からはきちんとあいさつをする。あいさつをされて嫌な人はいませんし、逆に「あいつ、だまって帰った」と思われては損です。
また、上司が電話で話をしているときも同様です。声は発せずとも、相手の近くにいき、「お先に失礼します」など、口を動かして会釈すればいいだけの話。メモをおいておくとさらに丁寧です。先にあいさつは「先手必笑」と申し上げましたが、自分側からアクションを起こしておいて悪いことはありません。自分はやるべきことはやった、という姿勢が大事です。
ただし、最近の風潮として、大勢の社員を抱える会社や業種によっては、逆にこうした関係を疎んじ、「お互い干渉せず」といった社風の会社もあります。基本は前述したとおりですが、それを心得たうえで、自分の会社がどういうことを求めているか、また自分の上司がどういうタイプかを把握して行動することも必要です。
それが分からないときは、悩んだり、自己判断したりせずに、相談できる先輩や、部署ミーティングの際に「こんなときはお声掛けすべきですか」と聞いてみるのもいいと思います。
いちいち、そんなことを聞くのは恥ずかしいと思われるかもしれませんが、判断しづらい社内のルールはお互いの共通認識として、判断の規準を明確にしておくことが、実は大切なのです。
そうすることで「そういう場合は黙って帰っていいよ」とか、「それでもやはりひとことあいさつはするようにしよう」などと、その職場なりのルールができて、皆行動しやすいですよね。それも職場のコミュニケーションのひとつですから。意外に解決法は簡単なのです。
マナーとは、相手の立場に立つこと。ただし、その相手やシチュエーションは、その時々で変わります。基本のライン、型、というものはちゃんとあって、それは知識として知っておくべきですが、その上で臨機応変かつ柔軟に対応しておくことがもっとも重要なこと。型だけ覚えても、仕事ができるビジネスマンにはなりません。相手や状況に応じての臨機応変、柔軟な応用力も大事なのです。
西出ひろ子さんより総括の一言
マナーは、相手や状況に応じて、どうするのが正解であるのか変わるものです。絶対にBad! やこれは誰にもGood! だと、明らかに言い切れること以外は、それぞれの状況に応じて、相手や周囲を不快にさせないためにはどうすればいいのかを、自分で考えて行動してみることが本来のマナーとして大切な姿勢です。
西出ひろ子さん
マナーコンサルタント・美道家。ヒロコマナーグループ代表。ウイズ株式会社代表取締役社長。HIROKO ROSE株式会社代表取締役社長。一般社団法人マナー教育推進協会代表理事。”マナーの賢人” として「ソロモン流」(テレビ東京)や「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日)などのドキュメンタリー番組でも報道される。28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)など著書多数。
>> ヒロコマナーグループ
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(取材・文/原口りう子 イラスト/中根ゆたか)
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