【ポイント①】ハンドルは体の近くにセット
普段、運転をしているとき、どんな姿勢でハンドルを握っているだろうか? さすがに、腕は真っ直ぐに伸びて両足を投げ出したようなポジションで運転しているドライバーを見かける機会は減ったが、そうはいっても「ハンドルがあまり近いと運転に慣れていない人に見られそう…」と考えている人も多いのではないだろうか?
モビリタでの講習でまず学んだのは、すべての操作をスムーズで安全に行うためのドライビングポジション。ハンドルを左右に切った際に両肘が伸び切らないだけの余裕を持たせることがひとつめのポイントで、その位置にシートを合わせるとハンドルは思った以上に近くなる。一見すると運転に不慣れな人に見えるかもしれないが、このポジションが実は正解。
今回、レクチャーしてもらった講師の大塚哲史さんも「運転が上手な人を見分けるポイントのひとつがドライビングポジション。ハンドルを余裕持って操作できる姿勢に合わせている人は“わかってる人だな”と思います」と話す。
▼運転が分かっている人に見える正しいポジション
【ポイント②】ブレーキペダルを踏み込んだ際にヒザが曲がるように
もうひとつのポイントは、両脚のヒザの曲がり方。いざという時、思い切りブレーキペダルを踏み込むためには、ペダルを操作する足のヒザに余裕があることが大切だ。ブレーキペダルを力いっぱい踏み込んでも、ヒザが少し曲がっている姿勢が理想で、このポジションだと太ももの裏側にある大きな筋肉を使ってペダルを踏み込みこめる。クルマを停止させた状態でシートに深く腰掛け、思い切りペダルを奥まで踏み込んでみよう。その際に、下の写真のようにヒザが少し曲がっている状態が理想だ。
▼しっかり停止させらえる膝の曲がり方
【ポイント③】フットレストは単なる足置きではない!
ドライビング中、左足はフットレストに置いている人が多いだろうが、こちらの足も実は重要な役割を持っている。カーブなどで遠心力がかかった際、体が左右に振られてしまっては正確な操作ができなくなってしまう。左足で強くフットレストを踏みしめ、腰をシートに押し付けるようにして姿勢を保つ必要があるのだ。それを体験してもらうため、モビリタでは35°の角度が付いたバンクにクルマを止め、その状態でも正確に運転操作ができる姿勢を保てているかをチェックする。
実際に体験してみると、普通にシートに腰掛けているだけではドライビングポジションを保つことは不可能。しっかりと左足でフットレストを踏みしめ、体を支える必要があることが実感できる。そのためには、ブレーキペダルを踏み込んだ時と同様、フットレストを力いっぱい踏みしめても左足のヒザが少し曲がっている姿勢を作っておくことが大切。筆者の場合、力を抜いてシートに座った状態では、両足のヒザとハンドルコラムの間に指が1〜2本入るくらいのポジションになった。
ハンドルを操作する両手と、ペダルやフットレストを踏み込む両足、そのどちらにも思い切り操作した際に伸び切ることがないだけの余裕を持たせた理想のドライビングポジションとなると、かなりハンドルに近い位置にシートをセットすることになる。しかし、この姿勢で運転してみると、スピードを出していない状態でもすべての操作を余裕を持ってスムーズに行えると感じられるはずだ。これまでも、シート位置は結構ハンドルに近付けているほうだと思っていたが、さらにハンドルに近いポジションにすることで操作がスムーズにできるようになったことは、ちょっと驚きだった。
運転が上手くなりたいと考えている人は、まず普段のドライビングポジションを見直してみよう。今回紹介したチェックポイントを抑えれば、普段の運転でも操作がスムーズに行えることを体感できるはずだ。そして、このポジションで運転することが安全にもつながり、周囲のドライバーや同乗者からも「あの人は運転が上手そうだな」と見てもらえるようになることだろう。
▼取材協力:トヨタ 交通安全センター モビリタ
>> [運転上手への道]
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(取材・文/増谷茂樹 写真/松川忍)
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