【ポイント①】発車時を見据えて駐車位置を決める
クルマを駐める際、実は結構重要なのが駐車する位置だ。駐める時は何とか入れられたものの、出庫する際に狭くて苦労したという経験がある人も少なくないはず。そうした事態を避けるためにも、駐車の位置決めは出庫の際の出しやすさを考慮しておきたい。
例えば、ハンドルを右に切って出庫する駐車場の場合、右側に大きな柱があったりすると苦労することになりかねない。奥まった場所にある駐車枠も、出庫時に十分なスペースがないことも考えられる。
また、隣のクルマは出庫時には入れ替わっていることも多い。例えば隣に大きなクルマが駐められていたとしても余裕を持って出庫できる枠を選んで駐めることも大切だ。駐車の位置決めは出庫時をイメージして、スムーズに出せる場所を選ぶようにしよう。
【ポイント②】駐車前の姿勢作りが重要
駐車する場所を決めたら、重要なのがバックギアに入れる前の車体姿勢だ。駐車時に何度も切り返すなど苦労している人を見ると、この姿勢作りができていないことが多い。
下の写真のように向かって右側の駐車枠にクルマを入れたい場合、その枠の前でハンドルを右に切り、駐車枠に対して車体を斜めに向ける。こうすることで、ハンドルを大きく切ったり、何度も切り替えしたりしなくてもスムーズに駐車できるようになるのだ。
どれくらい車体を斜めに向けるかは駐車場の広さや車体のサイズによって異なるが、後輪が駐車枠に向かっている状態で斜め45度くらいまで車体の向きを振るのが理想。スムーズな駐車の成否は、バックギアに入れる前の姿勢作りにかかっていると覚えておこう。
【ポイント③】ミラーで駐車枠の角をとらえる
通常のメニューにはないが、モビリタではバック走行でスラロームを行うレッスンも存在するとのこと。その際にレクチャーしているのは、ルームミラーとサイドミラーを使って自分の乗っているクルマとパイロンの位置関係を確認すること。ミラーで自分の位置が確認できないと、自分が今どこを走っているのか見失ってしまうためだ。
この基本は、駐車する際も変わらない。駐車前の姿勢を作ることができたら、ミラーを使って自車の位置を確認しながら、ハンドルを切るタイミングを決める。
その際にポイントとなるのは、駐車枠の白線の角の部分をとらえること。上の写真の位置に白線の角が来たらハンドルを(今回の場合は右に)切りながらバックする。白線の位置は、駐車枠や車体のサイズなどによっても異なるが、目安としてこのくらいの位置とおぼえておこう。
【ポイント④】ミラーと目視で周囲の安全を確認
ハンドルを切るタイミングはミラーを使って決めると述べたが、周囲の安全確認は左右のミラーやルームミラー、そして目視を使って確認することが大切。クルマには死角が存在し、近くに障害物や歩行者などがいても見落としてしまうこともある。ミラーや目視、そしてときには周囲の音に耳を澄まして安全を確認したい。
今回の講習でも、実際に乗車する前にクルマの死角を体験させてもらった。写真のように、使用したクルマの周囲には大小さまざまなパイロンが数多く設置されていたが、乗り込んで確認すると、これらのパイロンはひとつも見えない。多少、頭の位置や視点を変えると、先端だけ見えるパイロンもあったが、ミラーには全く映っていなかった。普段はなかなか体験することがないが、クルマの死角の多さは知っておくべきだと感じた。
こうした体験を踏まえると、周囲の安全確認をミラーだけに頼ると、非常にリスクが多いことが実感できる。自車と駐車枠の位置関係を把握するためにはミラーが有効だが、クルマの周りを確認するにはミラーだけに頼らず、直接目で見る目視も忘れずに行ないたい。特に、背の低い子どもなどはミラーの死角に入ってしまうことが多いので注意が必要だ。
モビリタでは、クルマに乗車する前に、車体の周囲、それに車体の下も目視で確認することを推奨している。車体の下に小さい子どもやペットなどが入っていることも考えられる。またパンクの原因になるガラス片などを発見できることもある。普段、クルマに乗る前も目視による確認を実行すれば、より安全性を高めることにつながるはずだ。
▼取材協力:トヨタ 交通安全センター モビリタ
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(取材・文/増谷茂樹 写真/松川忍)
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