■溝部分に陰影をプラスすれば、より立体的に見えてくる
今度は、濃い茶色のウェザリング塗料を使い、溝部分を面相筆で重点的にペイントする。陰影をつけるための、いわゆる“スミ入れ”だ。「影を付けるようなイメージです。全体的に塗ると明るい茶色が隠れてしまうので、あくまでも溝やラインの境目に塗布するようにしましょう」(川口名人)
薄め液を付着した綿棒で軽く拭き取った後、しっかりと乾燥させる。溝部分がしっかりと暗く落ちることで、立体的な印象が強まる。「綿棒で拭き取る力加減によって、塗料が落ちる量は随分と変わります。いろいろと試しながらコツをつかんで欲しいですね」(川口名人)
■明るい茶色を使って、砂の付着を表現!
しっかりと乾かしたパーツを表面をティッシュでまずは拭き取り、その上から明るい茶色のウェザリング塗料をペイントしていく。「今度は、サンドカラーのような明るい茶色なので、下地の茶色が隠れることを心配せずに、全体的にまんべんなく“ペタペタ”と塗ります」(川口名人)
明るい茶色を塗布したら、これまでの処理と同様にティッシュや綿棒で拭き取って、汚れ具合を調整していく。こうして見てくると、ティッシュや綿棒が活躍する機会は実に多い! 塗装の作業に不可欠なアイテムだということが分かる。
陰影を強調したもの(右)と砂の付着を表現したもの(左)。同じような茶系の塗料を使っていても、仕上がりの印象は若干異なる。「塗料の使い方などで仕上げ方はいくらでも調整できます。だからこそ大切なのは、自分が仕上げたい“イメージ”を塗装前に固めておくこと。例えば、取り扱い説明書の完成見本をトレースし、塗り絵してシミュレーションするのも手です。配色のバランスや方向性を事前に詰めておけば、塗った後に後悔することもないでしょう」(川口名人)
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これで、本格的なウェザリングも完了! 川口名人のアドバイスを踏まえながら、細部にキズを施したり、クリアパーツをグラデーションカラーにしたり、経年変化したようにウェザリングしたりすることで、自分だけのガンプラに仕上げてみてはいかがだろうか。次回でいよいよラスト。「ガンプラ名人の塗装テク」の総集編を見逃さないように!
ガンプラ名人・川口克己さん
SPIRITS ホビー事業部に所属し、ガンプラのプロモーション活動を行う。かつてはプロモデラーとしてその名を馳せ、フルスクラッチのガンダムなどを製作していた。往年のガンプラファンには神に等しい存在
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(取材・文・写真/ナゴヤリュータ 撮影協力/BANDAI SPIRITS、ガンダムベース東京 (C)創通・サンライズ)