航空写真家、ルーク・オザワに聞く「ヒコーキから見える絶景写真」の撮り方

空港にずらりと並んだ飛行機、スカイツリーと東京のビル群、雪化粧の富士山やアルプスの山々…。日本国内、たった1時間のヒコーキ旅でも、機窓からは非日常的な景色を眺めることができます。そんな風景を切り取るべくカメラを向けてみるものの、思いどおりの1枚はなかなか撮れないもの。果たして、プロの航空写真家はどうやって撮影しているのか気になる方もいることでしょう。

機窓風景を撮るとき、特殊なカメラや道具を使っているんですか?

ルーク・オザワさん(以下、ルークさん) 今はキヤノンのミラーレス一眼「EOS R」を使っています。レンズは昼間であれば24-105mm/F4のズームレンズ、夜は50mm/F1.2の単焦点レンズですね。

24-105mm/F4のズームなら、広く写したいときも、ちょっと寄った画を撮りたいときも自在なので便利ですし、それ以上の望遠レンズだとサイズ的に取り回し難く機内で使うのは難しいですね。夜間は50mmを使いますが、これは絞りが開放F1.2と明るいレンズですし、シャッタスピードを稼げるので、夜の街でもしっかりと写せます。

ミラーレス一眼を使う理由は何ですか?

ルークさん 以前はデジタル一眼レフで撮っていましたが、やっぱりシャッター音が気になるでしょう(笑)。ミラーレス機はもともと静かですが、EOS Rはサイレントシャッター機能を搭載しているので、無音撮影が可能です。これなら周りのお客さんに気兼ねなく撮影できます。

"決定的瞬間"を撮るコツはどんなところにあるんですか?

ルークさん 寝ないことですね(笑)。風景については、この路線ならこの景色が見えるというのを知っていますが、異なる高度を飛行している機体とすれ違うのは運もありますし、一瞬の出来事です。飛行機が視界に入ってから、見えなくなるまで数秒ですね。

機窓写真が撮りやすい、撮りにくい飛行機というのはありますか?

ルークさん 例えば、ボーイング767などは、窓ガラスに薄く色がついている機体と無色の機体があります。もちろん、無色のほうが撮りやすいでしょう。また、ボーイング787は窓が大きくなったので視界はグッと広がりましたが、シェード(日よけ)が液晶式なので、シチュエーションによっては色がついてしまいます。一長一短でしょうか。

また、787は窓が大きくなった分、写り込み気になることがあります。時には機体反対側の窓が写っていたり、ということもあります。

窓ガラスの写り込みは、どうやって消しているんですか?

ルークさん 実はよしみカメラの「忍者レフ」(5184円)という撮影アイテムを使っています。レフ板というと、一般的には光を反射させるためのもので、銀と白が表裏になっているのが一般的です。この忍者レフは黒と白が表裏になっていて、中央にレンズを入れる穴が開いています。

窓に密着させれば機内の照明が漏れることもありませんし、黒い面をガラスに向けて撮れば写り込みを消すことができます。787は窓が大きいので、必需品ですね。

▲上が忍者レフなしで、下が使用した場合。忍者レフを使用しないと窓ガラスに自分の姿が写り込んでしまう。特に早朝や夜間は顕著なので、機窓写真を撮る際にはマストといえる

▲ガラスの写り込みを抑える忍者レフ。機窓撮影のほか、ガラス越しの夜景撮影や水族館やでも重宝する。直径約50cmの「忍者レフ」(5184円)のほか、直径約35cmの「忍者レフミニ」(4320円)、787の窓枠に対応した約55×40cmサイズの「忍者レフ787」(5184円)を用意

>> よしみカメラ

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