空港に到着するとまずは展望デッキへ、という方も多いことでしょう。駐機場にずらりと並んだ旅客機を眺めるのも楽しいですが、離着陸シーンや背景の山々や海などを見ると、スマホじゃなくてカメラを構えて1枚、と思うはず。しかし、実際にはなかなか思いどおりの写真が撮れなくて四苦八苦ということも少なくありません。ということで、まず情景的ヒコーキ写真のプロはどんなカメラを使っているのか聞きました。
ーまず、情景的ヒコーキ写真とはどういう写真でしょうか?
ただ機体だけが写っているのではなく、空はもちろん、山や海、街など、四季の情景をヒコーキとからめて切り取った写真ですね。
ー撮影機材ですが、ひと口にデジカメといっても多種多様だと思います。ルークさんはどんなカメラで撮影しているんでしょうか?
ボクはずっとキヤノン製カメラを使っていて、昨年まではデジタル一眼レフがメインでした。夜間や連射が必要なときは高感度に強く、秒間14コマ撮れる「EOS EOS-1D X Mark II」、それ以外は「EOS 5D Mark IV」という使い分けでしたが、いまはミラーレス一眼の「EOS R」に移行しています。
ー最近では高性能ミラーレス一眼が各社からリリースされていますが、フルサイズミラーレス一眼のメリットはどんな部分ですか? また、キヤノン「EOS R」をヒコーキ撮影に使った感想はいかがでしょう?
キヤノンのフルサイズミラーレス一眼、EOS Rのメリットといえば、まずは軽さかな。撮影には複数のEOS Rを持っていきますが、カメラバッグに入れたときに、1D系とは明らかに重さの違いを感じますね。また、軽量コンパクトだけど、質感やタッチに安っぽさがないのもうれしいですね。ただ、メリットばかりではなくて、バッテリーの消費が速いのと、電源を入れてからの立ち上がりがちょっと遅いのが気になるのも事実ですね。
ーヒコーキ撮影で従来のデジタル一眼レフから進化したな、という点はありますか?
情景写真では、ヒコーキを画面のワンポイントにすることがあります。例えば、山々などの大自然をバック、画面の隅にヒコーキを置きたいということもあるんですが、EOS RはAFエリアが広いのが魅力ですね。
細かくいえば、AFエリアは映像表示範囲の横約88%、縦約100%という広範囲が測距可能エリアになっていて、5655ポジションのAFフレーム選択可能ポジションから任意の位置を指定できます。以前は一度、機体にAFをロックしてから構図を微調整していたので、だいぶ便利になりましたね。
また、それとAFモードも従来のAIサーボでは被写体の動きを"予測"していましたが、新しいサーボAFモードは被写体をしっかり"追従"してくれます。機能的にはカメラに委ねられる部分が増えたので、画作りにより集中できるようにりました。
ー情景的ヒコーキ写真は画面構成が大事なんですね。大自然でなく、空港の展望デッキから撮るときのヒントなどはありますか?
空や光は一期一会ですから、同じ空は二度とありません。まずは「どこを見せたいのか」「何を表現したいのか」を考えましょう。
あと、空港を知ることも大事です。例えば、羽田空港なら午前中は第一ターミナル展望デッキから陸側を見ると順光になりますし、遠くに富士山を望むことができます。午後は第二ターミナルから海側を見ると順光、夕方は第一ターミナルから夕焼けを見ることができます。あとは、画面のどこにヒコーキをおくとしっくりくるのか考えることでしょう。
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ヒコーキ写真は、うまい下手を問わなければ誰でも撮れるもの。とはいえ、感動的な1枚は漫然と撮っていていても生まれないということ。空港についたら、まずは光の向きと背景をチェックして撮るように心がけたいものです。
ヒコーキ写真の撮り方を学ぶなら、ルーク・オザワさんの撮影テクニックが詰まった本も出ていますので興味のある人はぜひ手に取ってみてください。
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(写真/ルーク・オザワ 文/村田尚之)
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