お話を伺いに乗り込んだのは、周辺機器メーカーとして定評のあるベルキン株式会社。というのも、昨年同社から発売されたメッシュWi-Fiシステム「VELOP」(傘下ブランドLinksys〈リンクシス〉の製品)が好評だからです。同製品を担当していて、メッシュWi-Fiについて知り尽くしている同社のおふたりに、素朴な疑問からぶつけてみました。
■網目を張り巡らせるように広がるシステムのことなんです
──あの~、「メッシュ」って言葉を聞くとですね、髪の色が部分的に違う人とか、アミアミの下着とかしか思い浮かばないんですが(汗)、「メッシュWi-Fi」って一体どういうものなんでしょうか?
八島史典さん(以下、略:もう答えは半分出てますね(笑)。 その「アミアミ」と関係があるんですよ。
──えっ!? どういうことですか?
八島:メッシュWi-Fiシステムとは、すべて機能が同じルーター(親機)をあちこちに置いて、それぞれが相互に通信することでエリアを網羅することができるWi-Fiシステムなんです。従来のWi-Fiはルーターをモデムにつないで、ルーターから離れた場所には中継器を置いてWi-Fiを利用できる範囲を広げていましたが、ルーター同士で通信することでWi-Fiの網(メッシュ)を作ることから、この名前があるんですよ。
──へえ~、Wi-Fiの電波が網のように部屋を包んでいる様子をイメージすればいい、ということですかね?
石井靖人さん(以下、略:その通りです。ルーターと中継器を結ぶ従来のWi-Fiだと、例えばリビングに置いている場合、他の部屋では通信が遅くなったり、途切れてしまったりしていましたよね? また、家族でお使いの場合など、接続機器の数が増えると、やはり通信に影響が出ていませんでしたか?
──まさにそうです! 先日も僕がノートPCで仕事をしているときに、妻はスマホで動画を見ていて、子供2人が対戦ゲームをしていたんですが、やたらと遅くなってしまって、ちょっと喧嘩になりそうな雰囲気になったんですよ!
石井:そうでしょう、そうでしょう(深くうなずく)。でも、そんな悩みもメッシュWi-Fiを導入することで、一気に解決しますよ。メッシュWi-Fiは従来のWi-Fi機器よりも通信速度の減衰が少なく、また多くの端末を接続できます。
今までは主にリビングでWi-Fiをご利用になる方が多かったと思いますが、スマートフォンやタブレット、IoT家電の普及にともない、家の中のどこでもWi-Fiにつながっている必要性が出てきました。メッシュWi-Fiシステムは、そのようなニーズにに応える最適な通信システムなんです。
──それはいいですね! でも、導入までが大変だったりするんじゃないですか?
石井:メッシュWi-Fiの導入に必要なのは、
1.インターネットの回線
(設定時にプロバイダーより提供される接続ID名とパスワードを準備)
2.メッシュWi-Fiルーター
3.ルーター用の電源
4.LANケーブル 1
5.スマホ
この5つのみです。スマホは、iPhoneでもAndroidフォンでも大丈夫です。
──ほうほう、「メッシュWi-Fiルーター」以外は、今でも自宅にありますよ。IDとパスワードだけ、すぐ出てくるか自信がないですけど(汗)。
石井:そういう方も多いんですよ(笑)。最初に導入した際に、IDとパスワードが書かれた書類をもらっているはずなので、しまい込んでいる方はもう一度、引っ張り出してください。そしてメッシュWi-Fiルーターとしては、弊社グループのLinksys(リンクシス)の製品である「VELOP」をオススメします。
■設定を変えることなく、ノードを増やすだけでOK
──それで、実際に導入するにはどうしたらいいんですか? VELOPのこの白い端末をケーブルでつないで、いろいろ設定しないといけないんですよね? あー、もう自信がなくなってきましたよ!
石井:落ち着いてください(笑)。VELOPの白い端末は「ノード」と言います。このノードをLANケーブルでつなげば、接続自体は完了です。その後の設定は、お手元のスマホに専用アプリをダウンロードして行います。それも、先ほど用意していただいたIDとパスワードを入力したりと、画面のガイダンスに従って進むだけなので、数分で完了しますよ。「誰でも簡単に設置できる!」と評判です。
──おお、ホントだ! でもこれだと、これまでのWi-Fiと変わらないのでは?
石井:実はこの時点でもかなりの差があるんです。例えば私の自宅では、長いこと携帯キャリアから支給されたWi-Fiルーターを使用していました。あれも接続は簡単なんですが、実は速度が全然出ていないことに、ある日気づいたんです。
「ここのWi-Fiはこの程度なのかな」と思っていたんですが、接続機器のために本来のポテンシャルが全然生かされていなかったんですね。その点、VELOPは接続した瞬間から、「もともとこんなに速かったのか!」と実感していただけると思います。
さらに、ここからがVELOPの本領と言える部分なんですが、今までは中継器を置いていたところに、もう1体のノードを置けば、Wi-Fiが届く範囲を劇的に広げることができるんです。こちらはもう設定の必要はなく、置くだけで大丈夫。しかも通信速度を落とすことなく、届く範囲が広がります。使う範囲に応じて、ノードの台数は後から足すことも可能です。
──いいことだらけじゃないですか!
石井:まだまだあるんですよ(笑)。今までは、部屋を移動するとSSIDが変わってしまって、Wi-Fiにつなぎ直さないといけなかったりしませんでしたか? VELOPを使用したメッシュWi-Fiシステムでは、そんな不便ともサヨナラです。
──そう聞くと、導入しない手はないような気がしてきました!(笑) あ、でも今からメッシュWi-Fiに変えると、これまでWi-Fiに接続していたスマホやゲーム機の設定を変更するひつようがあったりしませんか?
石井:今までお使いのデバイスの設定に、変更の必要はありません。また、OSやアプリのアップデートも不要です。唯一、メッシュWi-Fiに接続する際に、新たなネットワーク名とパスワードを一度入力するのみです。