そこで今回は、空気清浄機のお薦めモデルを紹介していきたい。選び方のポイントはいろいろあるが、今回は性能だけでなく「デザイン性」も重視して紹介しようと思う。
高性能でもデザインの悪い空気清浄機は置きたくない!
なぜ性能だけでなくデザイン性も重視したかというと、基本的に「空気清浄機は邪魔」だからだ。空気清浄機ほど、その効果が目に見えにくい家電製品はない。掃除機なら目の前のゴミやホコリがなくなり、加湿器なら部屋の潤いが感じられるようになる。エアコンは温度がちょうどよくなって快適に過ごせるなど、その効果はほぼ一目瞭然だ。
しかし空気清浄機の場合、よほど花粉症で悩む人なら家の中が快適になる(目がショボショボしない、鼻水があまり出なくなるなど)かもしれないが、空気清浄機を置いたから「PM2.5が気にならなくなった」なんて人はまずいない。置けば効果があるものの、その効果を感じにくいため、他の家電に比べて邪魔に感じてしまう。
せっかくインテリアに気を配ったリビングルームに置くだけでもイヤなのに、そのデザインが不格好だったら目も当てられない。そのため、少しでもデザインが良くて邪魔にならないものを選んでおけば、そんな不満も解消されるのでは……というわけだ。
国内メーカーの空気清浄機というとずんぐりむっくりしたフォルムで、いかにも“白物家電”といったデザインのモデルが多かった。しかし性能とデザイン性で定評のあるスウェーデンの空気清浄機専業メーカー、ブルーエアの日本進出などによって、ここ2〜3年のうちに一気にデザイン性を意識したモデルが増えてきている。
「高性能」と「デザイン」に加わる「+α」とは?
まず押さえておきたいのは、空気清浄機は「空気清浄専用タイプ」と「加湿機能付きタイプ」の2つに分かれることだ。国内大手家電メーカーは加湿機能やイオン発生機能を搭載する“全部入り”モデルを数多くラインアップしている。一方、海外メーカーや国内ベンチャーメーカーは空気清浄機能専用モデルが中心となっている。
加湿空気清浄機のタンクは比較的小さめでこまめな吸水が必要になることや、タンクの出し入れが面倒なこともある。購入する場合はそのあたりの使い勝手もチェックする必要がある。とはいえ、加湿空気清浄機はお買い得感があるのも確かだ。
そこで今回は、空気清浄機としての一定の性能を実現した上で、デザイン性が高く、さらに“+α”機能を実現したモデルを3機種そろえて紹介したい。
空気清浄機としての性能と機能を徹底的に求めるなら
ブルーエア「Blueair Sense+」
スマホ対応のインテリジェント空気清浄機
ブルーエア「Blueair Sense+」(直販価格5万8860円)
http://www.blueair.jp/sense-plus/
ブルーエアの「Blueair Sense+」は、剛性の高いスチールの筐体と質感のいいデザインにも定評のある同社の空気清浄機の中でも、ずば抜けたデザインの良さが魅力。
こちらも筐体はスチール製で、マットな表面の質感も素晴らしい。本体にはスイッチ類が全くなく、本体天面のモーションセンサーによって手をかざすだけで操作できるようになっている。
さらにユニークなのがスマホ連携機能だ。Wi-Fi(無線LAN)機能を内蔵しており、自宅のネットワークに接続することでスマホから遠隔操作が可能。
別売の「Blueair Aware」(直販価格2万7000円)を使用すれば、室内のPM2.5、VOC(有機溶剤などの揮発性有機化合物)などの微粒子やニオイ、温度、湿度をリアルタイムに観測し、スマホアプリと連動することで空気の状況を可視化することもできる。
Sense+に「オートモード」を設定するとBlueair Awareの観測データをもとに自動で運転を制御することも可能になるという。
推奨床面積は〜18平米(約11畳)と広くはないが、訪問客に自慢したくなるようなデザインは何よりの魅力だろう。カラーも6色をラインアップしているので、インテリアに調和させたり、ちょっと攻めた色を選んでみたり。カラーによって違った楽しみ方ができそうだ。
空気清浄機だけでなく、イオン機能や加湿機能も欲しい人に
ダイキン工業「MCK55S」
花粉を分解し、加湿もできる万能モデル
ダイキン工業「MCK55S」(実勢価格4万3000円前後)
http://www.daikinaircon.com/ca/tw/
国内大手家電メーカーの空気清浄機というと、加湿機能やイオン発生機能も備えた「万能型モデル」が中心となっている。しかしこれまでのモデルは、性能ばかりを追い求める一方でデザインがなおざりになっていた感があった。
しかしこのMCK55Sは違う。幅、奥行きともに27cmとコンパクトな設置面積ながら、適用床面積は約25畳とパワフルな空気清浄機能を搭載。「アクティブプラズマイオン」を空気中に放出するだけでなく、プラズマ放電によってフィルターに付着した花粉などを分解する「ストリーマ」技術を加えた「ダブル方式」を採用しているのもダイキンの大きな強みだ。
さらに500ml/hのパワフルな加湿機能も搭載(加湿機能の適用床面積は14畳程度)。タンク容量は2.7Lと多くはないが、本体上部にタンクを設置しているため出し入れがしやすいのが魅力となっている。
デザイン性も高く、カラーもディープブラウン、ホワイト、ミッドナイトブルー、ブライトオレンジとかなり攻めている。プラスチックな質感はBlueair Sense+に比べると若干見劣りしてしまうものの、バランスの良さはピカイチだ。
片づけ不要!1年中置きっ放しで使いたい人に
ダイソン「Dyson Pure Hot + Cool 空気清浄機能付ファンヒーター」
扇風機としてもヒーターとしても使えるお得モデル
ダイソン「Dyson Pure Hot + Cool 空気清浄機能付ファンヒーター」(直販価格7万4304円)
http://www.dyson.co.jp/fans-and-heaters/purifiers/dyson-pure-hot-cool.aspx
ダイソンの「Dyson Pure Hot + Cool 空気清浄機能付ファンヒーター」は、「空気清浄機付きファンヒーター」という位置付けの製品だ。ファンヒーターの「Dyson Hot+Cool」に空気清浄機能が付いたというもの。寒いときにはヒーター、暑いときには扇風機、年間を通して空気清浄機として使えるというのが魅力だ。
サイズは底面の直径が22.2cm、高さも63.2cmとコンパクトに仕上がっている。ダイキンの「MCK55S」も幅27×奥行き27cm、高さ70cmとコンパクトだが、下のフィルター部分より上部の扇風機部分が細くなっていることもあって、数字よりもさらにコンパクトに見える。
空気清浄能力は、8畳なら約30分、23畳なら約60分できれいにできるとのこと。ダイキンのMCK55Sが8畳を清浄する目安が約11分とのことだから、清浄時間の短さはダイキンの方が上だ。
しかしダイソンの場合は「他の空気清浄機が勢いよく空気を取り込むあまり取り残しがちな、たばこの煙などの微細なPM0.1レベルの超微小粒状物質まで99.95%除去できる」としている。
きれいな空気が送風機やファンヒーターとして機能することで1年中使えて、設置場所の制限がほとんどない点も魅力といえる。
(文/安蔵靖志)
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。総合情報サイト「日経トレンディネット」、「NIKKEI STYLE」などで執筆中。近著は「予算10万円以内! 本気で原音を楽しむハイレゾオーディオ」(秀和システム)。KBCラジオを中心に全国6放送局でネットしているラジオ番組『キャイ~ンの家電ソムリエ』にも出演中。
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