ポリカーボネイト製の波板を張ってついに完成!【DIYでウッドデッキ自作顛末記⑨】

波板状の屋根材は、どこのホームセンターでも扱っていて施工が簡単と非常に日曜大工向き。しかしその種類は意外に多く、代表的なカラートタンのほかにも、ガルバリウム鋼板や塩化ビニールなどがある。

「編集長がいってるのは、塩ビ波板ですね。あれは確かに価格が安いですが、劣化も早いです」

「そうだろ、古い納屋なんかの屋根でボロボロになってるのをよく見るよ」

「同じ樹脂製の透明な波板で、ポリカーボネイト製があるんです。これはオススメですよ」

「ポリカーボネイトって、あのミニ四駆のボディに使われてるやつか」

「編集長、ミニ四駆マニアだったんですか?」

ポリカーボネイトはプラスチックの一種であるが、その強度はほかの樹脂製品とは比べ物にならないほど高く、耐衝撃性は一般的なガラスの200倍以上といわれている。また透明性も高く、紫外線にも強いので、スポーツ用品から軍事目的まで様々な分野で活用されているのだ。

「屋根材として優れているのは、耐紫外線の部分ですね」

「塩ビがボロボロになるのは、紫外線のせいか」

1日中、直射日光に晒される屋根材は、紫外線の影響を受けやすい。

「よしじゃあ、我が家の屋根はポリカ波板で決定だな」

「ホームセンターでも売ってますから、日曜大工でも使いやすいですしね」

早速、最寄りのホームセンターで購入し作業を開始する。まずは下地作りから。通常の屋根だと、垂木の上に下地の板を張るのだが、透明な素材を使う今回は当然その方法は使えない。その代わりに波板の下地となる細い材木を横方向に垂木に取り付ける。

「前にもいいましたが、屋根が風で飛ばされないように、長めのネジでしっかり留めてくださいね」

「分かってるよ。ここまでで俺のインパクトドライバ使いもだいぶ上手くなっただろ」

長いネジはブレやすく、まっすぐに打ち込むことは結構難しい。ましてや脚立の上の不安定な足場である。しかし自慢するだけあって、編集長の腕前は確かに上がっていた。嬉しいような悔しいような複雑な感じである。

「調子に乗ってるとケガしますからね。安全第一ですよ!」

すべての下地材を取り付けたら、いよいよ波板の施工だ。

■波板は波板専用ネジで固定する

「波板は下地材にネジで留めればいいのか?」

「それじゃあ、ネジのところから雨漏りしますよ。これを使ってください」

「なんだこりゃ? 傘みたいなネジだな」

そうその通り。波板専用ビスは、ネジが傘を被っているのである。この傘の部分が波板の凸部分に密着して雨漏りを防いでくれるのだ。だから必ず凸のところで留めなければならない。

「よしよし1枚終了。次を隣に置いてっと」

「ダメダメですよ。それじゃ隙間から雨漏りするでしょ」

「また雨漏りかー?」

「そうです。屋根工事は雨漏りとの戦いなのです! いかに雨漏りのリスクを減らすのかがすべてなんですから!!」

「じゃあどうすんだよ」

「波板と波板を凸凹の山三つぶん重ねてください」

波板に限らず、屋根材は違い同士を重ねながら張っていくのが重要なのだ。

「でもこれじゃあ、なんかもったいないなー。ひと山ぶんじゃダメか?」

「材料をケチって、雨漏りしたら意味ないでしょっ!」

アホな掛け合いを続けながらも、作業は順調に進むのが、なんだか少し寂しい。最後の波板1枚を屋根上に上がってネジ留めし、ついに屋根付きウッドデッキの完成だ!

「編集長、おめでとうございます」

「おう、ついに完成したな!」

奥行き1.8m、幅3.6mの立派なウッドデッキだ。しかも屋根までついている。

「この大きさをDIYしたのは自信になったでしょー」

「いやあ思いつきで始めたにしては、よくできたよな」

思いつきだったのか、まったく…。

「じゃあ、本業の撮影をしますんで、ウッドデッキにチェアでも置いて寛いでくださいよ」

「ハンモックもあるぞ! ウッドデッキで昼寝しようと思って買っといたんだ」

いそいそと家の押入れからハンモックとキャンプチェアを出してきてセッティングする編集長。なかなか嬉しそうである。ここまで作るのに途切れ途切れで6日間。屋根まで作ったのだから大したものだ。

「はい撮影終了です。これでこちらのお庭ともお別れですね」

「おいおい寂しいこというなよ。次はBBQグリルとピザ窯を作ろう」

「ピザ窯ですか!? 簡単に言わないでください。あれ大変なんですよ、セメント練ったりして」

「えー、作ろうよー。それでウッドデッキでピザパーティしようぜ。ワインもいいのがあるんだよ」

「えっ! ワインですか!!」

「フランスとイタリア、どっちがお好きかな?」

「うーん、悩みますねー」

「あー、あと焚火台も欲しいなー」

やれやれ、もうしばらくここのお庭DIYに付き合うことになりそうだ…。

>> 連載 [DIYでウッドデッキ自作顛末記]


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写真・文/阪口 克

阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。

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