高精度、実用性、すべてを追求し続ける“スプリングドライブ”の進化【時計百識】

■進化を続けるスプリングドライブ

2020年はグランドセイコーがデビュー60周年を迎えたアニバーサリー・イヤーだ。この節目にグランドセイコーはスプリングドライブの新キャリバーを発表した。それが「9RA5」で、同ブランドが誇る9Rスプリングドライブの進化版となるムーブメントだという。

細かな説明は省略するが、ムーブメントの厚みを従来よりも0.8mm抑え、さらに低重心化を図ることで装着感を向上。また、パワーリザーブもこれまでの約72時間から約120時間へと大きく伸長させ、実用性を一段と高めたものだ。

▲月差±10秒の精度と約120時間のロングパワーリザーブを実現した新キャリバー9RA5。スプリングドライブが開発されている長野県塩尻市の自然に着想を得た、ムーブメント・デザインも美しい

セイコーが開発した機構であるがゆえに、セイコーのブランドとグランドセイコーのモデルにしか搭載されておらず、価格もたしかに高い。

しかしそれでも、機械式時計以上に流れるように秒針が進むスイープ運針を採用し、精度はクォーツと同レベル。さらには機械式のようなテンプがないため衝撃にも強いといった、数々のメリットはなんとも魅力的。

誕生から20年を超えて品質が安定しているばかりか、さらなる進化を遂げているのだから、購入時の選択肢に加えておくといいだろう。

▲新キャリバー9RA5を搭載した2020年の新作「SLGA001」(115万円/税別)。600mの飽和潜水用防水を備えたダイバーズモデルで、ケース径46.9mm、ケース厚16mmのマッシヴなルックスだが、ケースとブレスレットにはブライトチタンを採用し、軽快な装着感を実現。世界限定700本で、2020年8月1日発売予定(発売予定日は変更となる可能性があります)

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文/竹石祐三

竹石祐三|モノ情報誌の編集スタッフを経て、2017年よりフリーランスの時計ライターに。現在は時計専門メディアやライフスタイル誌を中心に、編集・執筆している。

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