■蚊よりもかゆくて痛い!「ブユ」にご注意を
渓流釣りは、吸血する虫たちの巣窟です。地域にもよりますが、気を付けるべきは、ヤブ蚊、ブユ(ブヨ・ブト)、アブ、スズメバチあたりでしょうか。
特に渓流などの水のきれいな場所で厄介なのが、「ブユ」です。ブユの幼虫は水質汚染に弱く、水のきれいな渓流で暮らすため、成虫は渓流の近くや山のキャンプ場などで多く見られます。
刺して吸血し、痒くなるけどしばらくしたら落ち着くのが蚊の刺し跡です。ところがブユは皮膚を噛み切って吸血し、唾液からそこそこ強めの毒素を注入します。直後はそれほど痒くないのに、翌日から猛烈な痒みと疼痛、腫れなどが始まります。
筆者は虫に刺されやすく、さらに炎症を起こしやすい体質。1カ月以上、傷口の腫れがひかないこともザラで、この前は広範囲に化膿してリンパ管まで炎症が及び、完治まで相当な時間がかかりました。
※傷口の写真を掲載しようと思いましたが、グロいのでカットしました(笑)/&GP編集部
釣りで出合う虫の中でも、とにかくブユは長く後を引くので、とても厄介。だからこそ、渓流に行く際はブユに焦点を合わせた、念入りな虫対策が特に必要です。
★渓流釣りのガイドが教える虫対策
実際、日々渓流に分け入っている方に現実的な虫対策を伺うべく、会津で渓流釣りをガイドしている氏家利康さんにお話を聞きました。
氏家さんは、全国でも珍しい強酸性の温泉が湧く、中の沢温泉「平澤屋旅館」を経営するかたわら、渓流やバス釣りのガイドも行っており、日々案内するお客さんにも水際での虫対策をアドバイスしています。
そんな氏家さんに、中でも特に守りたい5つの基本をお聞きしました。
虫対策① 真夏でも肌を露出させない!長袖長ズボンは基本!
「少しでも肌が露出したところを狙ってきます。透湿素材の薄手のレインウェアや、炎天下であれば速乾素材で薄い生地でできたアンダーウェアなどをレイヤーで身に着け、肌を防御しましょう」(氏家さん)
虫対策② 虫が寄りにくい衣装は白!特に日中のスズメバチなどに効果的
「スズメバチなどは、コントラストが強い黒いものを目掛けて攻撃する傾向があるそうです。またブヨも、黒や紺などの暗い色の衣服やレインウェアには寄ってきますが、ベージュやオレンジなどは寄ってくる数が少ないと思います。極力黒系カラーは避けて、白系や明るい衣服でコーディネートするのが無難です」(氏家さん)
虫対策③ 帽子の役割が重要!
「頭皮を守るのはもちろんですが、帽子に虫除けをかけておけば、頭部全体の虫除けが期待できます。目や口に入ってくる、鬱陶しいメマトイ(吸血はしないが、人間の目の涙を狙って襲ってくる虫)対策にもなりますよ」(氏家さん)
虫が大発生していてひどい場合は、モスキートネットを帽子とセットでかぶって対処する方法もあります。
虫対策④ サングラスは必携
透明な水の中にいる魚の反応を見ながら行う渓流釣りですので、偏光機能のあるサングラスは有効です。虫除けの観点では、涙を狙って飛んでくるメマトイの対策になります」(氏家さん)
虫対策⑤ 渓流のしつこい虫には「ディート30%」も
「私は、虫の忌避成分であるディート(化学名:ジエチルトルアミド)が入ったものをよく使います。ちなみにこれまではディートが10%ほどでしたが、最近ではディートを30%含む強めの虫除けも登場しました」(氏家さん)
※「ディート」が含まれる虫除けを使用する場合は各メーカーの注意点をよく読んで使ってください