■「換気」と「空気清浄」の違いとは?
話を聞かせてくれたのは、三菱電機・住環境研究開発センターの古橋拓也さん。
「今回ご提示させていただくのは、換気と空気清浄に関する内容です。換気、空気清浄という言葉は良くお使いになっていると思いますが、実際の明確な違いなどご存じないのではないでしょうか」(古橋さん)
たしかに。では実際にどう違うのでしょうか。以下にまとめてみました。
・「換気」…室内の空気を室外の新鮮な外気と入れ替えること
<メリット>
室内の空気中に含まれる汚染物を全てなくせる
<デメリット>
冬なら暖房器具などで暖めた室内の空気が屋外の冷たい空気と入れ替わる
・「空気清浄」…場合、空気清浄機を通過することで空気の浄化を行う
<メリット>
室内の冷気や熱気の変化はない
<デメリット>
空気清浄機の性能によるものの、完全に空気をキレイにはできない
どちらも一長一短ありますが、「換気」の方が効果が高く思えます。しかし、これも効果的な方法で行う必要があるとのことで、いくつかコツを教えてもらいました。
■5つのテクニックで部屋の空気をキレイに!
換気テクニック①
「対角線上に窓を開ける」
「効率良く換気をするためには、空気の流れを作ることが肝心です。どこかの窓を開ければ、それで換気されていると考えがちですが、それでは効率の良い換気はできません」(古橋さん)
しかも、対角線上の窓を開けること、空気の出入り口を離すことにより、さらに効率を上げられるそうです。また、窓や扉の位置にはどうしても制約があるので、換気扇を活用して強制的に空気を排気するのも効果的。
注意点は、換気扇が塞がっていたり、家具で空気の通り道を遮ったりすること。特に換気扇は定期的にメンテナンスが必要となります。
換気テクニック②
「換気中は暖房をつけたまま」
「WHO(世界保健機関)が出している室内の温度指針値では、室内温度を18℃にするよう提案されています。換気をすると屋外の冷たい空気が入るので、室内の温度が下がってしまうため健康を保護するためにも、室内温度は18℃以上になるようにエアコンなどの暖房機を活用しながら、換気することが推奨されます」(古橋さん)
換気テクニック③
「リビングではレンジフードも活用」
「こちらのグラフはリビングでの二酸化炭素濃度の変化の実測値です。黒い線がリビングの二酸化炭素濃度の推移となりますが、人が多く集まる朝、昼、夕方の時間帯には、二酸化炭素の濃度が1500ppmを超えることが分かります。このように大人数が集まるときは、人の呼気からの発生物が高濃度となります」(古橋さん)
そこでグラフの一番右に注目すると、レンジフードのおかげで人がいない状態の二酸化炭素濃度まで数値が減少しています。これは積極的に活用しない手はありませんね。同じく換気扇も効果があるので、夜間の就寝中などもドアを開け、稼働させるといいそうです。
換気テクニック④
「室内の空気を家電で撹拌(かくはん)する」
「標準的な住宅のリビング・ダイニングで、窓を開けて換気した場合をシミュレーションしたところ、窓開けだけでは全体を均等に換気するのは困難ですが、扇風機を使用すれば室内空気を均等に攪拌し、よどみなく換気できます」(古橋さん)
特に扇風機は斜め45°上を向けて使うことで、部屋の下に溜まった冷気を撹拌でき、窓からの排気効率を上げてくれるとのこと。これは窓を開ける時間の短縮にもつながり、部屋の温度が寒くなる時間も同様に短くできます。
また、エアコンも窓方向に向けることで気流を使い換気性能をアップできますし、さらぶ壁に沿った気流を作ればもっと効率は上がります。リモコンで方向を調整して空気の流れを意識しましょう。
換気テクニック⑤
「空気清浄機で換気をサポート」
さてここまで「換気」をメインに教えてもらいましたが、窓が開けられないといった部屋環境や、もっと換気効率を高めるためには、前述の通り「空気清浄」の力もプラスするとベター。PM2.5などに対応した高性能なHEPAフィルター搭載機などを部屋に設置し、空気環境をキレイに保ちたいですね。
>> 三菱電機
<取材・文/三宅隆(&GP)>
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