■塗装で金属の質感を再現するには?
プラモデル用塗料でもシルバーをはじめガンメタルなど金属の質感をリアルに再現できるメタル系のカラーは多数発売されています。キットでは、機体後部パーツと水平尾翼がMr.カラー61番「焼鉄色」、ジェットノズルが28番「黒鉄色」での塗装が指定されています。もちろんそのままでもいいのですが、よりリアルな金属感を出すためひと工夫していきます。
POINT1:金属感を出すためのコツは下地塗装にあり!
航空機に使われているアルミ、ジュラルミン、チタンといった金属の質感をエアブラシ塗装でリアルに仕上げるには、平滑な下地塗装が重要なポイントになります。
基本的には「平滑な黒」「ツヤあり黒」を下地に塗装することで、メタルカラー系の塗料に含まれている金属微粒子の向きが揃って光を反射し、金属感をより強調できます。逆に、下地が平滑でない(ザラついている)と、金属的な反射が抑えられるため鋳造、鍛造のようなマットな質感となります。
そこで作例では、金属色となるパーツを「ツヤあり黒」で下地塗装を行い、指定されている焼鉄色とシルバーをエアブラシで塗り重ねることで金属感を強調しています。
筆塗りの場合は、下地の黒が溶け出してしまうため同じラッカー系塗料を塗り重ねることができません。そこで、下地はラッカー系の黒を塗装し、重ねる金属色は水性アクリル系塗料を使います。
▼塗装前
▼下地黒塗装後
▼塗装完了後
POINT2:リアルタッチマーカーで金属感を強調
塗装のみでもリアルな金属表現を得られますが、作例では、リアルタッチマーカーを使うことで、焼けた金属感をさらに強調させています。リアルタッチマーカーは水性なので下地の塗装を侵すことがありません。
金属色のエアブラシ塗装のあと「リアルタッチイエロー1」をモールドに沿って色を塗り重ね、乾かないうちに綿棒を使い塗り広げていくいことで、よりリアルな焼けた金属感を表現できます。シルバーで塗装した部分は、「リアルタッチグレー2」で同様に塗装(凹部分にグレーが入り込むことで、ディテールをより強調)していきます。
■ジェットノズルの焼け跡をリアルに再現
インスト(説明書)の塗装指定ではジェットノズルは黒鉄色の指定がされていますが、ノズルの内側とエンジンダクト内側は、ジェット排気の高温に晒されるため、白く焼けています。そこで、黒鉄色の上からつや消しライトグレーをオーバーペイントすることで、リアルな質感が再現できます。
POINT3:半ツヤクリアーでオーバーコート仕上げ
リアルタッチマーカーは定着力があまり強くないため、塗装後に強くこすられると落ちてしまう場合があります。そこで、機体の仕上げに使用する「半つやクリアー」を軽くオーバーコート塗装(上塗り)することで剥離を防ぎます。また、実機のファントムを見るとエンジンまわりの無塗装部分はギラギラ感は強くありません(機体にもよりますが)。なので、模型的には「半つやクリアー」で金属塗装の光沢を抑えて仕上げるのが良いでしょう。
■いよいよ完成間近!
「機体製作編」「迷彩塗装編」「金属塗装編」と順番にきて、いよいよファントムの完成が近づいています。次回は【かっこいいファントムを作る】の最終回として、最後のキャノピー塗装、外部武装の取り付け、仕上げとなるデカール貼りを行っていきます。もう間もなく「F-4ファントムII」が完成します!
【迷人流!金属塗装のポイント】
ファントムのような現用機では、アルミやスチール、さらにはチタンといったさまざまな金属製品が使われています。こういった金属の質感の違いを塗装でいかに再現していくかが、リアルな仕上がりに繋がるのです。 金属の質感を再現できるメタルカラーを使うのはもちろんですが、塗料の金属感をより活かすためには、ブラックでの下地塗装が欠かせません。またリアルタッチマーカーによる焼けた質感の再現など、さまざまなテクスチャーを組み合わせることでリアルな金属感が再現できます。ぜひチャレンジしてみて下さい。
>> 次回【総仕上げ編】(4月24日公開予定)
>> 達人のプラモ術
<写真・文/長谷川迷人>
【関連記事】
◆エアブラシと筆塗りの“ハイブリット塗装”で迷彩の自然な塗り分けを再現!【達人のプラモ術】
◆黒下地塗装がコクピットをリアルに見せる!【達人のプラモ術】
◆プラモの“達人”にも刺さった!2020年"出戻りモデラー”の心を掴んだプラモデル5選
- 1
- 2