■落とすだけの簡単な釣りを繰り返すべし!
「穴釣り」といえば、湖一面に張った氷に穴を開けて糸を垂らすワカサギ釣りをイメージされる方が多いと思いますが、実は海釣りにおいても知る人ぞ知る定番のスタイル。釣り方は至ってシンプルで、テトラポット(消波ブロック)の隙間や際に餌を付けた仕掛けを落とすだけ。落とした先の海中に魚がいれば、ほぼ9割方の確率で釣れるんです!
ターゲットとなる「カサゴ」は、釣り人の間では“から揚げや味噌汁の具になるために生まれてきた”といわれるほど美味しい魚。関西では「ガシラ」、九州では「ガブ」とか「アラカブ」など呼ばれ方はいろいろ。針にかかったときの強い引きは、一度体験するとヤミツキになります。
穴釣りのために用意するのは、竿とリール、そして釣り針と錘が一体になった仕掛け「ブラクリ」と、釣り餌となる「サバ塩(塩漬けにして身を締めたサバの切り身)」のみ。
釣り場の近辺にある釣具屋さんや船宿で、生き餌の「イソメ」を入手しておくのもありですが、釣り初心者の方にとっては恐らく“ガチの罰ゲーム”と同じほどの超絶ハード。そのイソメと同じか、それ以上に釣れることもあるサバ塩の方が、いかにお手軽なのか理解できるはずです。
今回の釣り方「穴釣り」は、テトラポットの際やテトラポットの隙間に、餌を付けたブラクリを落とすだけ。ブラクリが着底して魚が食い付いてこなかったら仕掛けを巻き上げて、落とす位置を変えてリトライします。これの繰り返しです。
なお、テトラの上は丸みがかっていることもあり、足元は非常に不安定。釣りに夢中になるあまり、仕掛けではなく自分が落ちてしまったらシャレになりませんので、くれぐれもご注意を。万全を期して滑らないシューズと、ライフジャケットを用意しておくのがベストです(釣り場によってはライフジャケットの装着義務があり、またレンタルしてくれるところもあります)。
また、いくら魚が釣れそうなポイントであったとしても、そこが立ち入り禁止区域に指定されていれば当然ながら入るのは厳禁。小学生でもわかるルールはしっかり守りましょう。
■穴釣りのポイント①「テトラポットの穴」
落とした先にカサゴがいれば即食いついてきて、竿先をググンッと引き込みます(魚がいなければ何の反応も出ません…)。テトラの穴に落とし、さらにテトラの際を探る。ブラクリがテトラにぶつからず、すっと深く落ちていけば魚がかかる絶好のチャンスです!
■穴釣りのポイント②「テトラポットの際」
こんな感じでテトラ周りを何度か攻めてみた結果…。
はい、釣れました~! 大きく見えますが、実際は15cmちょっとと小ぶりなサイズ。海に返してあげました
■ポイントを次々と変える「ランガンスタイル」がおすすめ
穴釣りで釣果を上げるポイントは「頻繁に仕掛けの落としどころを変える」ということ。カサゴは海中であまり動き回らず、岩や障害物の影に潜んで餌が落ちてくるのを待つタイプなので、1匹釣れたらすぐに別の場所を探る、アタリ(魚が餌に食い付いたときに出る反応)がなければ即移動というのが鉄則になります。
また、テトラや岩場がない堤防でも、海底に岩が転がっている場合や魚礁(魚が集まる障害物)があるところでも、穴釣りと同様の釣り方でカサゴが狙えます。釣りに行く前に、ネット等でカサゴが釣れているかどうか、釣れる場所かどうかを調べておきましょう。
■小さいカサゴはできるだけリリース
釣り方のコツや狙うべきポイントとともに、もうひとつ大事なことを。実はこのカサゴ、成長が非常に遅い魚。20cmになるまで約5~6年かかり、なおかつ産卵の際に産む卵の数も少ない(数千~1万程度。ちなみにアジやイワシは10万以上)ため、「やったー!釣れたー!」と根こそぎ持って帰ってしまうと、あっという間に根絶やしに…。15cmに満たない小さいサイズは、釣れてもすぐに逃がしてあげてくださいね。
釣行日が4月中旬、前日までにまとまった雨が降っていたこともあり、水温はやや低め(13℃前後)だったんですが、筆者を含めて参加した4人全員が10匹以上の釣果。おかげさまで楽しい時間を過ごすことができました。
これからは気温とともに水温も上昇し、カサゴの活性もアップ=釣りの難易度がより一層低くなります。海辺でのレジャー時はもちろん、何なら釣りそのものを目的にしてもOK。今年の春夏シーズンは、ぜひ穴釣りにチャレンジしてみてください!
<取材・文/河西まさあき 写真/河西まさあき、下城英悟>
河西まさあき|フリーランスのライター、編集者。堤防での小物釣りと船からの中小物釣りに精通し、
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