POINT1:パーツのエッジを削ってリアルな薄さを表現!
足回りの製作は、まず前輪と後輪を組んでいきます。前後ホイールはインスト(説明書)で指定されたMr.カラー「C79 シャインレッド」をエアブラシで塗装。パーツ成型色の白を活かしているので、サーフェイサーによる下地塗装はしていません。シャインレッドの乾燥後に上からクリアー(今回は「ガイアノーツ・Exクリアー」を使用)を重ねて塗装することで光沢を出します。
ホイールに取り付けるブレーキディスクは、肉抜き穴などもシャープに再現されていますが、プラ製ゆえの厚み(約1mm)が気になります。そこで、エッジ部分を裏からクサビ状に削って(厚み0.5mm程度に)ディスクローターが薄くシャープに見えるように加工します。
ブレーキディスクの金属感を出すために下地に黒を塗装してからリム部分をシルバーに、ハブ部分をゴールドで塗装します。ただしゴールド(Mr.カラー「C9 ゴールド」)はそのままだとギラギラ感が強すぎるので、シルバーを10%程度混色したカラーで塗装すると良いでしょう。また、ディスクローターのリムとハブはモールド(彫刻)が彫りこまれていますが、塗装を正確かつ円状に塗り分けるのはなかなか大変。そこで、ステンレス製のテンプレートを利用したマスキングをおこない、エアブラシで正確な円の塗り分け行います。
POINET2:フィニッシュシートを使ってフロントフォークをリアルに見せる
バイクモデルは実車のアルミやスチール、あるいはクロームメッキされた金属の質感をいかにリアルに再現するかがポイントになります。フロントフォークのアウター部分は、アルミシルバーで塗装すれば良いのですが、インナーチューブはクロームメッキされているため、塗装ではどうしてもリアルな仕上がりにならないのが悩ましいところです。
近年ではメッキに近い質感を再現できる塗料なども発売されていますが、今回は貼るだけでメッキを再現できる「TF942 ミラーフィニッシュ(曲面追従金属光沢シート)」を使用し、クロームメッキの質感を再現します。
「フィニッシュシート」は極薄(厚さ0.0025mm)の柔軟な蒸着シートで、パーツの形状に密着させられるので、リアルな鏡面仕上げができます。今回のようなフロントフォークのインナーチューブだけではなく、クロームメッキされたマフラーや外装パーツをはじめ、バックミラーなどの再現、さらにはメッキパーツのリカバリーなどにも使用できるので、バイクモデルやカーモデルの製作に欠かせないアイテムとなっています。
■POINT3:見えなくなる部分にもしっかり塗装
足回りの製作と同時に2ストロークエンジンの象徴でもある“チャンバー”を進めていきます。キットはチャンバーの複雑な形状を左右分割で再現し、サイレンサーが別パーツとなっています。パーツのアンダーゲート(ランナーから切り離した際に凸状に出っ張っている)をしっかりと研磨処理して、接着面に隙間ができないように注意します。
完成後は見えなくなってしまうものの、金属スプリングパーツを使い、リアルに再現したリアサスペンションも組んで塗装しておきます。
フロントタイヤとフロントサスペンションユニット、またリアタイヤは付属の極細ネジを使い車体に組みつけていきますが、取り付けの際にネジを締めすぎるとネジ穴を潰してしまうので要注意です。
【迷人流!バイクモデルリアル演出のポイント】
バイクはエンジンはじめ、ブレーキやサスペンションなど、走るためのメカニズムがむき出しになっているのが魅力のひとつ。プラモデルはプラスチックの塊ですが、それが動くようにみえる、オイルに匂いが感じられるようなリアルさを、いかに1/12スケールの中で再現するか、そんな面白さが内包されています。塗装による焼けたエンジンの質感の演出、さらに今回はフィニッシュシートを使ったクロームメッキの再現など、さまざまな塗装テクニック、そしてアイテムを効果的に組み合わせて使うことで、よりリアルな「TZR250」を作り上げていきます。
>> 達人のプラモ術
<写真・文/長谷川迷人>
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