難易度高い“曲面部”のデカール貼りは軟化剤とドライヤーで解決!【達人のプラモ術<TZR250編>】

POINT1:合わせ目が目立つ部分は瞬間接着剤パテを使用

外装パーツは燃料タンク、フロントカウルとアンダーカウル、サイドカバーそしてシートに分かれます。燃料タンクは、左右分割されているので接着後、パテを使いパーツの合わせ目を修正する必要があります。

ちなみに、一般的なラッカーパテは乾燥硬化後に溶剤分が抜けて肉痩せ(パテ自体が経年で縮んだり凹んだりして凸凹になること)するため、消えたはずの合わせ目が塗装後に出てきてしまうことがあります。そのため、タンクの合わせ目のように目立つ部分にはオススメしません。そこで、トラブルを防ぐため、硬化後も肉痩せしない瞬間接着剤パテ(タミヤ瞬間接着剤「イージーサンディング」)を使用し、合わせ目を埋めた後、研磨処理して仕上げています。

フロントカウルとサイドカバーは、それぞれ3パーツで構成されていますが、接着面積が少ないので、強度確保のため接着後にしっかりと乾燥させてください(特にサイドカバー)。

▲左右を接着した燃料タンクは光が透けるのを防ぐために内側を黒で塗装しておく

▲効率アップのため、ホワイトで塗装するパーツはまとめて切り出しておく(アンダーゲートに注意)

▲フロントカウルは、まず左右をつなぐパーツの片側を接着。乾燥させてから反対側を接着させると組み立てが楽になる

▲シートカウルも左右をつなぐパーツ(矢印部分)の接着面積が少ないので、組み立て後の強度を確保するために接着剤の乾燥時間をしっかりと取る

 

POINT2:塗装後は24時間乾燥

組み立てたカウルは白で塗装します。インスト(説明書)ではMr.カラー「C1 ホワイト」が指定されていますが、このホワイトは塗料の隠ぺい力(下地を隠す力)が弱く、エアブラシ塗装の場合、3~4回塗り重ね(塗装→乾燥→塗装の繰り返し)ないと均一な塗装面が得にくいのです。エアブラシでも筆塗りでも、塗料を厚く塗り重ねるとパーツの細かなディテールがつぶれてしまうので、なるべく薄く仕上げたいところです。

そこで今回は、ガイアノーツ製の「EX-01 ホワイト」(Mr.カラーと同じラッカー系塗料)を使用しています。この塗料は、隠ぺい力が強いため、エアブラシ塗装でも2回塗り重ねるだけで、均一で光沢のある白の塗装面が得られます。

カウルやタンクで赤となる部分は基本デカールで再現できるのですが、フロントカウルの左右ナックルガードは塗装が指示されているので、ホイール塗装の際に使用したMr.カラー「C79 シャインレッド」で塗装します。

塗装面は最低でも24時間は乾燥させてください。焦ると指紋や擦り傷がついたりといったトラブルの原因になることも。乾燥時間をしっかりとおくことで、塗料に含まれる溶剤成分が抜けて塗膜が硬くなります。

▲希釈した「EX-03 ホワイト」をエアブラシで2回塗装(塗装→乾燥→塗装)したフロントカウル下部。ビス穴に爪楊枝を差し込んで持ち手にすると吹き付け塗装が楽にできる

▲同じく2回塗装を塗り重ねた燃料タンク。光沢が出ているのが分かる

▲アッパーカウルは両サイドのウインカー基部パーツを接着してからホワイトで塗装する

▲ナックルガードのみシャインレッドで塗装

▲ホワイトでエアブラシ塗装が完了したタンク、カウルといった外装パーツ。このあと最低でも24時間は塗装を乾燥させる

 

POINT3:軟化剤とドライヤーでデカールを密着させる

▲キット付属のデカール。外装パーツの赤で塗装されたグラフィックはすべてデカールで再現可能

さて、塗装が乾燥したらいよいよでデカール(水転写シール)をカウルとタンクに貼っていきましょう! カウルのストロボラインや燃料タンクは、それぞれが大判のデカールなので扱いには注意が必要です。また、燃料タンクは複雑な曲面に立体裁断された1枚のデカールを貼っていくのですが、扱いが難しいのでデカールを上面と左右それぞれ切り離して、個々に貼りこむことで、シワができにくく作業が楽になります。

塗装に自信がある方なら、燃料タンクはデカールを使わずにマスキングしてシャインレッド塗装してしまうのも良いでしょう。

また、軟化剤を使用することで、デカールをパーツの曲面にしっかりと密着させられます。大判デカールは、貼りこんだら余分な水分をティッシュに吸わせて、デカール内に気泡があれば綿棒を使って、慎重に内側から外側に押し出します。

▲「Mr.マークセッター」(左)は軟化剤に糊の成分が含まれているので、デカールをよりしっかりと定着させられる。デカールとの相性があるので使用に関しては必ず事前テストが必要。タミヤ製「マークフィット」(右)は効果がソフトで、糊の成分を含まない軟化剤だ

デカールは薄いフィルムなので、パーツに貼り付ける際に強く擦ったりすると簡単に破けてしまいます。そこで、貼りこんだデカールを軟化剤と併せてヘアドライヤーを使います。デカールは、ドライヤーの温風で軽く温めることで軟化剤も効果も高くなり、風圧を利用することで、擦らずに密着させられます。

▲大判デカールは水につけたあと、台紙ごとパーツの表面に持っていきフィルムをスライドさせてパーツの表面に移す。そうすれば気泡が入りにくく、デカールの端が折れたり丸まったりといったありがちなトラブルを防げる

▲デカールを正しい位置に貼ったら、綿棒を使い水分と入り込んだ気泡を内側から外側に慎重に押し出す

▲水分と気泡を押し出してデカールをしっかりとパーツ表面に密着さたらTZR250のロゴとYAMAHAのデカールを貼る

▲難易度が高いのが燃料タンク。立体裁断されたデカールを曲面で構成されたタンクに貼るわけだが、矢印の部分を事前にカットし、「マークフィット」を使いタンクの曲面にデカールを馴染ませながら、シワが生じないように中央部分、次に左右それぞれを重ね貼りしていく。ドライヤーの温風を使うとより効果的

▲タンクに貼りこんだ赤デカールが乾いたのち、YAMAHAのロゴを重ね貼りする。位置を修正する場合は、デカールが完全に乾かないうちに、表面にたっぷり水に漬けて動かす。

▲塗装図を参考にメータなど細部のデカールを貼る

▲デカールを貼り終えた各パーツ。アッパーカウルのナックルガードとシートカウルの黒は塗装している

 

【迷人流!カウル塗装とデカール貼りのポイント】

デカール貼りは、十分な乾燥時間を取ることが重要なポイントです。特に大判デカールは、表面的に乾いているように見えてもデカールシートの内側に残った水分が乾くのに時間がかかります(最低でも2日、出来れば一週間程度乾燥時間を取りたい)。水分が抜けていないと仕上げのクリアー塗装において、デカール表面に気泡が生じたりするトラブルの原因となるので、十分に注意しましょう。

>> 達人のプラモ術

<写真・文/長谷川迷人>

 

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