■タイガーⅠとは
タイガーⅠは、第二次世界大戦でドイツが開発した重戦車で、車体前面装甲は100mm、砲塔前面防盾は120mm、側面および後面装甲の厚さが80mm、側面下部は60mmの重装甲を持っています。
搭載された88mm砲(8.8cm KwK36 L/56)は、第二次世界大戦で使用された戦車砲の中でも高い威力を誇り、1000m離れていても100mmの装甲を、500mで111mmの装甲を貫通するほどの威力を持っていました。アメリカ陸軍戦車「M4シャーマン」であれば、1600m以上の遠方から撃破することができたそうです。
2014年に公開された映画『フューリー』では、博物館に現存する走行可能なタイガーⅠが使われ、劇中でM-4シャーマン5両との戦闘をリアルに再現し、話題になりました。
タイガーⅠはプラモデルとしても人気が高く、タミヤをはじめ多くのメーカーがモデル化しています。今回は、中国の新興スケールモデルメーカー・ボーダーモデル社から発売されたばかり(5月23日発売)の「1/35タイガーⅠ初期型」を製作します。ちなみにですが、タイガーⅠには多くのバリエーションがありますが、製品名にもある初期型とは、1942年12月から1943年7月まで生産された車両のことを指します。
■1/35スケールの意味を知ってます?
戦車や装甲車などの軍用車両のプラモデルは、AFVモデル(Armored Fighting Vehicle/アーマード・ファイティング・ビークル/装甲戦闘車両)と呼ばれ、スケールサイズは1/35が国内外で主流となっています。
ところで皆さんはAFVモデルがなぜ1/35スケールが主流なのかご存知ですか? 実はAFVモデルに初めて1/35スケールを採用したのはタミヤが1961年に発売した「パンサータンク」でした。単2電池2本で電動走行をさせるため、車体に組み込むモーターや電池、ギアボックスなどの大きさから逆算した縮尺サイズが、ほぼ1/35だったからなのだそうです。
当時、戦車のプラモデルはモーターやゼンマイで走るのが当たり前でした。その後1970年代には、タミヤの1/35戦車シリーズは30種類を超えて、更に走行ギミックを廃したMM(ミリタリーミニチュア)シリーズが人気を集めたことから、他メーカーも追随するようになりました。つまり、1/35スケールは、日本で生まれた縮尺で、AFVモデルでモータライズ(プラモデル本体にモーターと電池を組み込み、そのままラジコンのように走らせることのできるギミック)が廃止となり、精密モデルとなった後も、国際標準となったというワケです。ちなみに、タミヤでは1/48スケールでもAFVモデルの充実化を図っています。
POINT1:海外製キットはまずパーツの洗浄を!
海外メーカーのキットは、パーツが離形剤(金型から成形したパーツを抜きやすくするための潤滑剤)にまみれていることが多々あります。そのため、組み立て前にパーツを洗浄する必要があります。離型剤を落としていないと、塗装の際に塗料がはじかれたり剥離などトラブルの原因となります。洗浄は、中性洗剤とぬるま湯でOKですが、今回はファインモールドが発売している離型剤の洗浄剤「ご機嫌クリーナー」を使っています。
POINT2:AFVモデルは組んでから塗装する
飛行機モデルやバイクモデルでは、コクピットやエンジンなどパーツを塗装しながら組みあげていきますが、戦車モデルの場合、基本的に組み上げてから塗装を行います。今回は、車体、足回り(転輪と履帯)、砲塔の3つに分けて組み立てた後、塗装をおこないます。まずは、車体の製作。ちなみに、キットはランナー枠が8枚もあるのでパーツ探しが大変。そこで、マスキングテープでランナー識別用にタブをつけてA~Zを記しておくと探しやすくなります。