■内装の組み立て
POINT1:内装の光沢を抑えてボディの光沢を強調
キットのインスト(説明書)の指示にそってフロアパーツを塗装していきます。指定は「タミヤカラー X-18 セミグロスブラック」となっていますが、作例では素材感の違いを出すため、「つや消しブラック」と「タミヤカラー XF-63 ジャーマングレイ」で塗り分けています。
本革のシートは「セミグロスブラック」で、ハンドルはウッドの質感を出すために指定の「タミヤラッカー TS-46 ライトサンド」の上から、「タミヤカラー X-35 セミグロスクリヤー」を塗装して仕上げます。
ダッシュボードのメーターは、デカールを貼りこんで乾燥させたのち、アクリル塗料の「タミヤカラー X-22 クリヤー」をデカールの上に垂らして、メーターの光沢(ガラスの質感)を再現します。仕上げとして、ドア内側のモールのインレットマークを忘れずに貼りこみます。
(インレットマークとは? >> エンジンの塗装は光沢を抑えてリアルさを演出【達人のプラモ術<NISSAN フェアレディ 240ZG>】 )
ボディに組み込んでしまうと、あまり見えなくなってしまう内装ですが、細かく塗装で質感を変えることで、リアルなディテールを表現。また光沢感を抑えたことで、ボディの光沢を強調できます。
■ライト、フロントウインドウなどクリアパーツの取り付け
内装が完成したら、第1回(>> カーモデル製作はボディの塗装から!【達人のプラモ術<NISSAN フェアレディ 240ZG>】 )で塗装を済ませたボディに、フロントウインドウやライトといったクリアパーツを取り付けていきます。キットでは、ウインドウパーツをかこむモール部分が別パーツ化され、メッキパーツとなっています。
これまでのカーモデルでは、ウインドウを囲むクロムメッキされたモールや、ゴム製のウエザーストリップ(ドアとボディのすき間を埋める、帯状のシール材)は塗装で再現するのがほとんどでした。これがメッキ製パーツとなったことで、塗装では再現ができなかったリアルな仕上がりを得られるようになりました。
POINT2:クリアパーツのカットは精密薄刃ニッパーで
フロントウインドウやサイドウインドウなど、カーモデルはクリアパーツが多いといえます。クリアパーツの仕上がりの良し悪しがカーモデルのキモと言って良いでしょう。クリアパーツをランナーから切り離すのは他パーツと同様にニッパーを使いますが、その際にはゲート(ランナーと繋がっている部分)カットに特化した精密薄刃ニッパーを使うのがオススメです。
クリアパーツは、通常のパーツと比べるとプラが硬く、クラック(ひび割れ)が入りやすいという特徴があります。そのため厚刃ニッパーや切れ味の悪いニッパーを使うと、切断面を押しつぶすようにゲートから切り離すことになるため、パーツ側に細かなクラックが入り、白くなってしまう場合があります。通常のパーツならば、塗装でクラックをリカバリーできますが、クリアパーツはそうはいきません。
精密薄刃ニッパーは精度が高く刃の切れ味も良いので、切り離す際にパーツにクラックが入るのを防いでくれます。数多く発売されているので、好みに合わせて選びましょう。
今回使用したのはタミヤ製ニッパーで、精度の高さと刃の先端形状がより薄くなっているのが特徴のニッパーです。部品とランナーの間が狭い細かなパーツや、極細パーツの切り出し、そしてクリアパーツの切り出しに適しています。
精密ニッパーは一般のニッパーに比べて高価ですが、作品のクオリティアップのためには持っておきたいツールのひとつです。
POINT3:クリアボンドを使いこなそう!
インストではメッキパーツとクリアパーツの接着、さらにボディへの取り付けは、クリアボンド「多用途接着剤クリアー」の使用が指示されています。メッキパーツはプラ用接着剤が効かない、瞬間接着剤ではメッキが曇ってしまうという理由からです。また、ウインドウパーツなどのクリアパーツへの取り付けに際しても、クリアボンドを使用します。プラ用の接着剤を使うと、はみ出た場合クリアパーツの表面が溶けて白く濁ってしまうためです。
ボディ塗装がキレイに仕上がっていても、フロントウインドウなどのクリアパーツが接着剤で汚れていては、作品が台無しになってしまうので、クリアボンドを使って丁重に組んでいきましょう。
フロントウインドウとリアウインドウには、それぞれメッキで再現されたモールパーツが組み合わさっています。メッキ部分は、ウエザーストリップのゴム部分を塗装しなくてはいけません。ここは「GM406 リアルタッチマーカー グレー3」で塗装することで、簡単かつシャープに仕上げられます。メッキパーツは色が乗りにくいのですが、マーカーを塗装→乾燥→と塗装と3回程度塗り重ねることできれいに仕上がります。
【達人流!のポイント】
クリアパーツやメッキパーツの接着には、クリアボンドを使うことでパーツを接着剤で汚してしまうリスクを避けることができます(しかもリカバリーもやりやすい)。そして、プラモデル製作の基幹ツールのひとつともいえるニッパーは、クリアパーツや繊細なパーツの切り出しなどに使うゲートカット用精密ニッパーや通常の切断に使う厚刃のニッパーを使い分けることで、パーツの折損やクリアパーツのクラックといったトラブルを減らせます。接着剤にしてもニッパーにしても、適材適所で使い分けることが作品のクオリティアップに繋がるのです。
* * *
次回は「1/24 NISSAN フェアレディ 240ZG」の最終回。オーバーフェンダーや外装パーツの取り付け、さらにインレットシールの貼りこみと、ボディの磨きを紹介していきます!
>> 達人のプラモ術
<写真・文/長谷川迷人>
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