■メッキキットの継ぎ目処理に悩む
キットの胴体上面は巧みなパーツ分割でパーツの合わせ目が出ないのですが、胴体下面と主翼の合わせ目はどうしても気になってしまう部分ではあります。通常のキットならば、ヤスリを使って研磨することで簡単に継ぎ目は消せるのですが、メッキキットはそうはいきません(まぁ普段は見えない部分だから継ぎ目は気にしないという考え方もありですが)。なのでここはモデラーらしくアイテムを駆使して処理をしていきましょう。
パーツの接着後、通常キットと同様にパーツの合わせ目を研磨して継ぎ目を消していきます。当然ながらメッキは剥がれてしまいます。
剥がれてしまった部分は銀で塗装すればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、メッキの質感と塗装の銀で質感が異なってしまうためそうもいかない。悩ましいところです。
そこで登場するのが、模型メーカーのハセガワが発売している金属調フィニッシュシートです。
以前、ヤマハTZR250の製作でもミラーフィニッシュシートをフロントフォークに使いましたが、今回はつや消し調の『チタンフィニッシュ』を使用します。フィニッシュシートをパネルサイズにカットしてパーツに貼りこんでいけばOK!
極薄のシートなのでほとんど段差もできず、メッキの質感とも違和感がありません。主翼の前縁や胴体下面は曲線で構成されていますが、フィニッシュシートは柔軟性があるのでピタリとパーツに馴染んで継ぎ目を隠してくれます。
■フィニッシュシリーズ金属調シートとは
模型メーカー、ハセガワが発売しているフィニッシュシリーズの金属調シートは、真空中で金属を加熱・蒸発させ、薄い膜としてフィルムに付着させる「金属蒸着」という技術を使ったシート(シール)です。柔軟でとても薄い特殊フィルムを使用していることで、曲面への貼りこみも可能なディテールアップ素材になります。
デザインナイフで簡単に切り出せて、塗装では再現が難しいクロムメッキ、つや消しシルバー、ステンレス、チタンといった金属の質感を、貼るだけで再現できるスグレモノです。
金属調以外にもカーボンケブラー、透明ホログラム、偏光といった塗装では表現できない質感の再現ができるシートや、クリアーレッドやつや消し黒など、数多くバリエーションが揃っており、カーモデル、飛行機モデル等のディテールアップに欠かせないアイテムとなっています。
■質感の違いを塗装で再現
キットのメッキは無塗装(ナチュラルメタル)の質感を再現したものですが、実機は機体の部位によって同じ銀でも材質等の違いで微妙に色味が異なります。特に主翼の補助翼は羽布張り(金属のフレームに布地が貼ってある構造)の上から銀で塗装されているので、質感が大きく異なります。
そこでここはあえて、つや消しシルバーで塗装しています。垂直尾翼の方向舵も同様の構造ですが、塗装されているので特に質感を変える必要はありません。
無塗装の機体を製作する場合、塗装のみでもパネル単位で微妙にトーンを変えることでリアルな金属感を再現できます。作例では胴体下面のラジエターを塗装で質感を変えています。
■フィニッシュシートで質感の違いを表現
塗装でナチュラルメタルな質感を再現できるのは分かっていただけたと思いますが、フィニッシュシートでも同様にトーンの違いを再現できます。今回使用したチタンフィニッシュはやや黄色みがかった艶消しの銀色です。これをパネル単位で貼ることで、メッキの塗装にコントラストをつけられます。